偏った価値観の土地で「自分の志」を貫いて生きるのは困難

日本には多くの閉鎖的村社会がありますが…そこでは偏った価値観が幅を効かせ、その価値観によって秩序を維持していることが多いため、

多様性や個性などは重視されず、決められた枠内で従順に生きる画一的な人間しか認められない傾向にあります。

そんな社会で生きることが好きなら良いけれど、「ここでは生きていけない」と思うほど辛い場合は、その社会から出たほうがずっと生きやすくなる気がします。

他国と比べると国土面積的には狭い日本。

ただ、各地域で歩んできた歴史や自然環境が異なるためか、地域によって人々の性質がかなり違う印象があります。

最近読んだ『北の農民 南の農民』という本でも、そうした違いを感じました。

この本は、山形県で農業を営む星さんと、宮崎県で農業を営む山下さんの約1年間の文通内容が載っています。

雪が降り年間日照時間が短く、たいした開発がされなかった東北地方と、

一年を通じて日照時間が豊富で、幕末から今に至るまで力をふるい続けてきた九州地方に住む人とでは、考え方がだいぶ違うことが分かります。

もちろん個人的思想の違いもあると思いますが。

どちらにしても、日本列島に生きる農業従事者の大半は、閉鎖的・偏狭的な地域で生きていることが多く、その地域では否応無く周囲に合わせることが求められているようです。

例えば、無農薬農業などをやろうとしても、他農家からの圧力で諦めざるを得ない等…

それゆえ、その地域の多数派でない価値観・志をもち、それを1人で貫いて生きていくのは、相当困難な場合が多いと言わざるを得ません。

もし自分の価値観・志を貫こうとするなら、自分以外にもう1人以上、同じ価値観・志をもった人を地域内に見つけるか、それができなければ最終的にはその地域を出ることも必要になると思います。

今回例に出した農業従事者だけでなく、どんな職業に従事する人であっても、偏った価値観が幅を効かせる土地において1人で生きていくのは相当難しいと感じています。