被害者叩きが蔓延する日本社会には、弱者が弱者を叩く風土がある

日本で30年以上生きてきて思うのは、日本社会には弱者を袋叩きにする風土があること。

それはまるで、弱者であることが自己責任であるかのようです。

努力では解決できない境遇の弱者がいることを想像できないのか、弱者が社会的被害者であるにもかかわらず、「弱者にも落ち度がある」とか「弱者なのは努力が足りないから」的認識をもつ人が、男女問わず多い印象を受けます。

まぁ、いまだに根性論がまかり通る社会なので仕方ないのかもしれませんが…

例えば、女性が男性から様々な暴力を受けた場合、日本で必ず出てくるのが「被害者にも落ち度があった」的発想。「被害を受けた女性にも非があった」というのです。

被害に遭った女性に対し、一般人だけでなく警察官までもがそうした発言をする訳ですから、もはや大半の日本人男性がそう考えていると見なしても不思議ではありません。

それだけでなく、同性である女性の中にもそうした思想をもつ人が多いのには驚かされます。どこか男尊女卑社会のインドに近い感じ…

他に「被害者叩き」で思いつくのが、イジメの被害者と加害者。

イジメの被害者が多勢の加害者からヒドイ扱いを受けても、必ず出てくるのが「被害者にも落ち度や非があった」という意見。

どう考えたって加害者が悪いに決まっているのに、なぜか被害者が悪いとなる。イジメなんて陰湿低俗な暇人がすることなのに、された方も悪いなんてこの世の終わり感満載です…

あと、生活保護受給者に対するバッシングもそう。「働けるのに働かない人」みたいに一括りにして、「貧しい生活をしている方が悪い、努力不足」と批判します。

努力ではどうにもできない生活困難な状況があるにもかかわらず、

生活保護を受給させないようにしたり、生活保護受給者を国賊的に扱ったり…政府とグルの御用大手メディアも「生活保護=不正受給」みたいに報道したりします。

さらに、ジャーナリストが無事に帰国できた際にもバッシング。

最近もありましたが、救出され帰国したジャーナリストに対して日本の政治家をはじめとする大人が、「税金の無駄使い」「自己責任だ」等と批判していました…

自国のジャーナリストを育てる気がなく、自国民を守ろうとする意識さえない訳です。

本当に先進国なのか??

それより先に批判する対象があるのではと思うのですが…なぜか弱者に向く矛先

でも、そうやって数百年前から日本国外へ出て行った日本人を、これまでも数多く切り捨ててきたんでしょうね…村から出て行った人を八分として切り捨てるように。

ジャーナリスト帰国の件でもう1つ気になったのが、「そういう危険なことは、外国のジャーナリストに任せておけばいい」というある政治家の発言です。

こういう発言が当たり前に大手メディアに取り上げられる時点で、「日本は独立国ではありません」と言っているようなもの。

何でもそうやって外注していると、あらゆる面で国内が空洞化していきます

そんな訳で、日本社会における批判の矛先は、強者でなく弱者に向かうようになっているようです。

それが歴史的に構築されたものなのか、日本人のもつ性質によるものなのか、教育とメディアによる刷り込みなのか、

その全部なのかは不明ですが、どうにせよ日本社会では弱者は守られない構造となっています

つまり、「社会的弱者=努力不足」という一括括りで、「弱者でいる方が悪い」「努力で弱者から抜け出さないのが悪い」という思想が蔓延しているのが日本社会なのです。

「弱者に生まれたほうが悪い」ってめちゃくちゃな論理ですが、それがまかり通ってしまう社会……

日本は好きなのに日本社会が嫌いになる瞬間です。