『反教育論』サル的人間・サル的社会からの脱却を望む

引き続き、『反教育論』(泉谷閑示、2013)をご紹介。

本書に載っていた、イギリス人であるマーク・ローランズによる以下の文章を読んだとき、とてつもない事実を突きつけられた気がしました。

サルには友だちはいない。友の代りに、共謀者がいる。サルは他者を見やるのではなく、観察する。そして、観察している間じゅう、利用する機会をねらう。サルにとって生きるということは、攻撃する機会を待つということだ。他者との関係は常にたった一つの原則の上に、不変かつ容赦なく成り立っている。すなわち、おまえはわたしのために何ができるか、おまえにそれをしてもらうにはいくらかかるか、という原則だ。(p61)

(中略)

サルは人生で一番大切なものも、コスト・利益分析の視点から見るのである。(p62)

上記文章を読んで、経済中心である現代社会はすさまじいサル的社会だと思いました、、、

もちろん、サル的性質を持たない人も大勢いると思いますが、現代社会を支配し動かしているのは間違いなくサル的人間です。

結果として、ビジネスの面だけでなくあらゆる面で、世界全体がサル的社会になっている気がします。

この記述を読むと、現代人がいかに優秀なサルを目指して躍起になっているか、痛いほどに見えてくる(p62)

と著者も指摘しているように、サルは対象を利用価値の有無によって値踏みするか、または競争相手と見なす動物です。

そんなサルと対比する形で、著者はオオカミを紹介しています。

オオカミは人間に「従属」しない動物のため、西洋社会で長い間、邪悪で賤しい存在とされてきたそうです。

昔の日本では「大神」として崇められた存在でもあったようですが、この本を読むまでは私もオオカミに対して凶暴な動物という印象がありました。

世界各地の童話でもオオカミは悪者扱いされていて、これまでその概念を疑う機会はありませんでした。

しかしながらオオカミは、

自分より弱い者に対してとても優しい振る舞いを見せる(p65)

性質を備えていたり、何らかの困難に遭遇した場合は即興的で柔軟な知恵を発揮したりするなど、

実はその性質を理解していくと、オオカミ=凶暴というイメージは、童話などで刷り込まれたものだったことに気付かされます。

しかも、オオカミの社会は闘争ではなく、協力によって成り立っているそうで、

オオカミの群れのヒエラルキーは、闘争や競争の原理ではなく、自発的に生ずる尊敬の念によって成り立っているものであって、騙し合いや出し抜きに満ちたサルの群れとはずいぶん違う。サル的社会を生きているわれわれ人間にとっては、実に学ぶべきところが多い(p66)

というのです。

サルがオオカミよりも知能が高いのは、とどのつまりは、サルの方が優れた謀略家であり、詐欺師であるからなのだということだ。この事実に、サルとオオカミの知能の違いは由来している。(p67)

サルとオオカミの記述を一通り読んで思ったことは、明治維新以前の日本はオオカミ的社会、明治維新以降の日本はサル的社会ということでした。

もちろん、地域によっては江戸時代からサル的社会を形成していた所もあったと思いますが、

そうしたサル的社会の地域がすでにサル的社会だった欧米諸国と意気投合したのが、明治維新だったと見ることもできる気がします。

しかしながら、江戸時代における日本列島にはオオカミ的社会も多かったと思うので、そうした社会では陰謀や騙しとは無縁の、オオカミ的人間を生む教育が行われていたと想像します。

それが、明治維新以降の社会では欧米諸国に合わせるために、軍国主義の流れもあってか、服従的なサル的人間を量産するサル的教育が主流となったため、

少しずつサル的人間が増え、結果として現代ではサル的人間が多数派を成すサル的社会になったのだろうと想像。

世界の主流がサル的人間・サル的教育・サル的社会となった結果、もはやそれに沿わない人間・教育・社会は駆逐されそうな勢いです。

それもそのはず、現代ではサル的人間が多数派のサル的社会のほうが、巨大利権を手放したくない世界の支配層にとっては都合が良いため、今後もその構造は変わらないかもしれません。

ただ、弱者を虐げたり搾取したり、他国の資源を搾取したり、ルールを捻じ曲げたり(各国で法人税を支払わない企業など)して、

世界の富が一部の人間に偏っている現状を見ると、いくら知能が高くてもサル的社会の行き過ぎには疑問を持たざるを得ません。

もちろん、成るようにしかならないとは思いますが、著者も述べているようにオオカミ的社会から学ぶことは多いので、今後何らかの形でサル的人間・サル的社会から脱却する未来を望んでいます。

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