歴史に残る恐ろしいほど素晴らしい演技「羽生結弦2012世界選手権FS」


数年前、youtubeのおすすめ動画欄に突如として表示された「羽生結弦 2012世界選手権FS」。当時も今も特にフィギュアスケートに興味はないのですが、再生回数も多いしと思って軽い気持ちで観ました。

…結果、羽生選手がいかにすごい人かを知りました。何がすごいって、命を削って滑っているような魂のこもった演技が…

この時の演技を観て、スポーツで初めて鳥肌が立ちました…それくらいの演技でした…語弊を恐れずに言えば、何かに憑りつかれたかのような鬼気迫る演技でした。

海外の解説者も言っていましたがこの時の羽生選手の演技は、「全身全霊で戦ったスケート人生をかけた演技」、「今まで我々が見た素晴らしい演技の中でも特に見事」、「この演技はフィギュアスケート史に残る素晴らしいもの」と、言葉を尽くしても尽くし足りないほど称賛に値するものでした。

そんな演技が生まれたのは、当時17歳の羽生選手に見事なほど合致した、曲(映画『ロミオとジュリエット』のサウンドトラック)、プログラム、振付、衣装、そしてとんでもない彼の才能によるものだと予想。さらに、その当時彼が足に怪我を負っていたことも少なからず影響していると思います。

それが表れた(と思われる)のが、演技中盤で突然転倒してしまったところ。通常そんなことが起きれば、その後の演技は前半よりも良くないものになる、もしくはどんどん崩れていくことが予想されます。

が、この時の羽生選手は転倒したことが逆に演技かと思えるほど、転倒後も転倒前と同じ、高く美しいジャンプを連発し、ステップや他の演技も神がかった素晴らしいものでした。

そのために、演技終了後に観客総立ちで泣く人も出る事態になったのだと思います(コーチの方も泣いていました)。私も動画なのに見ていて震えました…

当時の彼が震災を経験するなど様々な苦境を乗り越える中で、命を削ってでもスケートリンクに向かおうとする覚悟ゆえに、生まれた演技だったのかもしれません…

それにしても怪我を負っていても、あんな美しいジャンプを何度も飛び、滑らかに美しく滑り続けられるなんて、才能って恐ろしいですね……もちろん彼は壮絶な努力もしていると思いますが、恵まれた身体能力と才能を努力によって生かし続けていることは、ただただ敬服です…

そんな、転倒さえもプログラム内容に思わせてしまうほど、素晴らしい演技の「羽生結弦 2012世界選手権FS」を、ある日ふと思い出したかのようにyoutubeを漁って観てしまうのでした。