パリ観光は観光客が少ない11月が最適、ルーブル美術館【後編】

パリ観光は観光客が少ない11月が最適、ルーブル美術館【前編】

の続きです。

こちらは、紀元前古代ギリシア「ミロのヴィーナス」。

1820年メロス島(現代ギリシア語でミロ)で発見された作品で、紀元前2世紀末に作られたものではないかといわれています。

主に2つの大理石のブロックで構成されたこの彫像は、別に加工された複数の部分によりできており、はめ込み部品の技術を使い、上半身、両脚、左腕、左足はなどは、縦はめ込みにより結合されているそうです。

紀元前古代ギリシア「サモトラケのニケ」。

この作品は、1863年ハドリアノポリス(トルコ)のフランス副領事であった、シャルル・シャンポワゾがサモトラキ島で発掘したもので、紀元前190年頃に作られたものではないかと言われています。

勝利の女神(ギリシア語でニケ)は、衣装をはためかす風の攻撃に耐える、船の船首に立つ羽を生やした女性の姿で表れています。

こちらは、ミケランジェロの「抵抗する奴隷」です。

同じくミケランジェロの「瀕死の奴隷」です。

上記ミケランジェロの2作品は、1505年から手掛けられた教皇ユリウス2世の墓の為に作られていた作品だったそうですが、ミケランジェロが制作を開始したのは1513年のことでした。教皇が亡くなり、経済的理由により計画が変更となったため、ミケランジェロがそれを贈ったロベルト・ストロッツィを通してフランスに入ったといわれています。

フランソワ・ジェラールの「プシュケとアモル」です。

1798年に作られたこの作品は、ヴィーナスの嫉妬を買ってしまうほどの美貌の持ち主であるプシュケに、女神の息子クピド、すなわちアモルが恋をし、神である恋人の姿を見ることが出来ないプシュケの額に、初めての接吻を捧げるアモルを描いています。驚き動揺したプシュケは、恥じらいながら露になった胸の上で両腕を組んでいる。こうして彼女の中で初めての恋心が生まれたのだそうです。

古代エジプト美術(ローマ統治時代のエジプト)で有名な作品で、紀元前1279~1213年に作られたとされる「ラメセス2世の巨像」があります。

この彫像では、ファラオが伝統的ポーズで表されており(立方体の形をした玉座に座り、両手を開いたまま腿の上に置き、正面に(破損している)コブラがついたネメス頭巾をかぶり、顎には付け髭をしている)、ベルトの留め金、玉座の背面や側面の全面には、ラメセス2世の名前と称号が刻まれています。

同じく古代エジプト美術に、「女性の肖像画、(通称)ヨーロッパの女性」(右側)があります。紀元後120~130年に描かれたとされるこの「ミイラ肖像画」は、肖像画の女性が、鑑賞者を直視せずに右側を見ている姿が特徴的です。

赤紫の貫頭衣と黄色のコートを着用し、大きいエメラルドがはめ込まれた丸いブローチで留め、大きい真珠二個と、その間にはさまれた黒っぽい石から構成された耳飾が、突き出して尖った大きめな耳を飾っています。また三編みは、金の丸いヘアーピンで頭頂部に固定されている様子が描かれています。何故か親しみを感じてしまう肖像画でした。

壁や天井の至る所に絵画が敷き詰められており、見ても見ても終わりません。

こうした装飾は、ルーブル宮だった当時の名残なのでしょう。

巨大な絵があちこちにあり、こちらのパワーを吸い取られそうなほどの存在感があります。

ちなみに館内には多くの係員がいて、絵について訪ねると親切丁寧に教えてくれます。

こちらは、ティントレットの 「天国」という絵画の下絵で、1588年に描かれたもの。

本物の絵は、高さ7m、幅22mほどあり、約800人の人物像が描かれているそうです。1577年ドゥカーレ宮殿は火災に遭い、1582年、1588年にもともとあった装飾画の損失に変わる作品を画家たちに競い合わせたそうです。結局、フレスコ画制作にヴェロネーゼとフランチェスコ・バッサーノが選ばれました。

しかし1588年、ヴェロネーゼの死でバッサーノとのコラボによるフレスコ画の開始は立ち消えとなってしまいます。そこでおこなわれた画家の選で、ヴェロネーゼの「天国」のスケッチに似ている作品、このルーヴル美術館所蔵の「天国」のスケッチを描いたティントレットに決定したのだそうです。

「カナの婚礼」は、ベネディクト修道会のためにパッラディオによって、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島(ヴェネチア)に建てられた食堂を飾るために描かれた作品です。

1563年に完成したこの作品は、ルーブル美術館内で最も大きい6.77m×9.94mもあり、終始その大きさに圧倒されます。ガリラヤのカナで、キリストが婚礼の祝宴に招かれ、そこで成し遂げた奇跡が描かれています。その奇跡とは、祝宴の最後に葡萄酒が足りなくなってきたため、キリストが召使たちに石の甕を水で満たして家の主人に出すよう告げます。そして主人はその水が葡萄酒に変わっていることに気付くのです。

使徒ヨハネによって語られているこの挿話は、聖体の秘蹟の成立を予示する出来事なのだそうです。新郎新婦は食卓の端に座って中央の座をキリストに譲り、結果キリストは、聖母、使徒ら、聖職者、王侯、ヴェネツィアの貴族たち、ターバンをかぶった東方の人々、そして多くの召使いや、民衆に囲まれているのです。

こちらは、ヴェロネーゼの「悪徳を制裁するために空から降りるジュピター」。

天井画として描かれたものだというので、少し違和感がありますが、力強さと美しさを感じます。この絵と先程の「カナの婚礼」は、イタリアからナポレオンによって奪われたそう作品だそうです。

ルーブルにはまだまだ多くの作品があるのですが、そのどれもが独特の魅力を放ち、人々を魅了してやみません。

冒頭でも紹介したように、ルーブル美術館では「パリミュージアムパス」が使えるため、持っているとスムーズに入退場できて便利です。

ミュージアムパスがあれば、館内で疲れたりお腹が空いたりしても、一旦外へ出て食事をしたり休憩したりして休むことができます。私も食事のために中断して、外でサンドウィッチを買って食べました。

作品数が膨大でいっぺんに鑑賞するのは気力体力ともかなり消耗するので、しっかり時間をとって休み休み鑑賞するのがオススメです!

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