『政府は必ず嘘をつく 増補版』(堤未果、2016)の「袋とじ」に書かれていた、
TPPによって起こる日本社会の破壊。
前回書いた内容のほか、マイナンバーカードに対しても警鐘が鳴らされていました。
マイナンバーとは特定個人識別番号のことで、マイナンバーカードとは個人情報がつまったカード。
マイナンバー制度は、
導入初期費用約3000億円と毎年の維持費約300億円、セキュリティ対策など関連費用も含めると(p236)
約1兆円の市場規模だそうですが、
2000億円の税金を投入して普及率5%の「住基ネットシステム」(2002年導入)を使えば、
100億円もかからないのだそうです。
当時、「住基ネット」に投入した2000億円という税金の大半は、
全国9か所に設置された財団法人「地方自治情報センター」に総務省から天下りした役員たち(p235)
の高額報酬へと消えていたそうですが、、、
そうした実態が問題となった後、タイミングよくマイナンバーが現れ、
「地方公共団体情報システム機構」という新しい名称へと替わりました。
ただ実態は変わらなかったため、
役員には引き続き総務省からの天下り官僚を迎え入れ、2015年度には700億円の予算を計上。安定した役員報酬が税金から流れこむしくみは、これでふたたび安泰となった。(p235)
のだそう、、、
日本政府は、
「マイナンバー制度は諸外国では常識ですよ」(p237)
とマイナンバー制度を強制してきましたが、個人情報が
ここまで一元化された制度は、先進国ではまだどこにも導入されていない。(p238)
そうで、、、
共通番号制度があるカナダやアメリカでは番号取得は「強制」でなくあくまでも「任意」、イタリアの納税者番号は日本のように一生不変ではないし、フランスとドイツでは「納税」と「社会保障」の共通利用は行われていない。(p238)
のだそうです。
つまり、日本政府が行おうとしているマイナンバー制度は、諸外国とは異なるもの。
さらに導入している国々の現状をみると、漏洩被害が多すぎて、ほとんどの国で制度自体の見直しが検討されているのだ。(p238)
というから、なぜそんな欠陥システムを日本に導入したのか不可解です。
リスク管理がザルの日本政府に、国民の重要な個人情報を集中させることがいかに危険か、、、
今後、悪用されて治安悪化の引き金にならないことを祈るばかりです。
政府は、保険証とマイナンバーカードを一体化させて、既存の保険証を廃止しようとしていますが、
医療現場や介護現場など現場の労力増加と、
特定個人識別番号を持ち運ぶ危険性を無視した考え方には、呆れるしかありません。