『人類が生き残るために』(浅野晴義)危険な化学物質から生命を守るためにできること

売却した実家を片付けている最中、親が購読していた『消費者リポート』と、『人類が生き残るために―内科医 医療と食べ物を語る―』(浅野晴義)という小冊子を見つけました。

『消費者リポート』は日本消費者連盟という団体が出版している、新聞やテレビでは報道されない、食品添加物、農薬、化粧品、医薬品、合成洗剤などに含まれる化学物質の危険性を発信している情報紙です。

以前からその存在を知ってはいましたが、実家在住時は関心が薄く読んだことはありませんでした。

が、最近近所の図書館でたまたま『消費者リポート』を読んだところ興味深く思ったので、同じく日本消費者連盟が出版している『人類が生き残るために―内科医 医療と食べ物を語る―』を親から借りて読んでみることにしました。

この本は、1970年代に内科医・浅野晴義氏が日々患者に接している体験から、日常生活における慣行の積み重ねが、重い病気を誘発することに危機感を持ったために書いたもの。

薄い冊子ですが内容は濃く、分かりやすく記載された事実の数々を読んでいると、絶望感とともに「危険な社会環境を野放しにしてはならない」という気持ちが沸いてきます。

例えば、合成洗濯用洗剤、合成食器洗い用洗剤、合成シャンプーなどの化学物質使用品は、それらが皮膚から吸収され、肝臓に機能障害を引き起こすという記載内容。

肝臓は体の中で最大の臓器であり、そこでは体にとって不要、有害な老廃物、異物の分解が行われています。

が、1980年代以降世界中で肝臓異常を示す人の数が増加しており、その原因は非常に分解されにくい有機塩素系化合物DDTやBHC、PCBが体内に蓄積されているためだと分かりました。

  • DDT …ジクロロジフェニルトリクロロエタンのことで、かつて使われていた有機塩素系の殺虫剤、農薬。
  • BHC …ベンゼンヘキサクロリドのことで、現在では劇物扱いされているがかつて使われていた農薬。
  • PCB …ポリ塩化ビフェニルのことで、人工的に作られた 主に油状の化学物質。

何万年も前から人類が接触してきた物質に対しては、それに応じた分解酵素がつくられているため、吸収や排泄を調節するシステムが体に備わっています。

が、元々天然には存在しない有機塩素系化合物は、人類が近年接触し始めた毒物のため、体は上手く処理できず、健康被害をもたらしてしまうのです。

世間では、経済中心社会にありがちな合理的判断と称して、危険性の高い医薬品や食品を平気で推進する流れもありますが、私はそんな合理的判断は不要だと思っています。

人権無視かつ経済中心の日本社会では、化学物質が多用されているので、各人や家族が気を付けて生活しなければ、体は際限なく危険にさらされる可能性が高いです。

こんな社会環境を変えるには、化学物質不使用のものを選んで買う、という積み重ねが不可欠です。

そうした行動によって危険な品が徐々に市場から無くなり、安全な品がより多く市場に出回るようになると予想するからです。

本来であれば、そうした化学物質などの危険物規制を政府が行うべきですが、経済中心国家かつアメリカの利益が優先されるせいか、期待できません。

はじめ、著者はこの本を「生命を守り育てるために」というタイトルにする予定だったそうですが、読んでいくとそれも頷けます。

結局、人類だけが生き残ることはできないわけで、地球規模で考える必要があるわけです。

今後も自分と家族と未来の子どもたちを守るために、できるだけ化学物質を避けた生活を続けていくつもりです。

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