『日本が売られる』⑲輸入を止めることも表示することもできない成長ホルモン入り乳製品

引き続き、『日本が売られる』(堤 未果、2018)から引用します。

1998年頃、すでにアメリカでは、

人工的に乳量を3割増やす遺伝子組み換え成長ホルモン「γBGH」を投与した牛のミルク(p96)

γ…ガンマ

が当たり前のように流通・販売されていたそうです。

この遺伝子組み換え成長ホルモン「γBGH」と、「γBGH」が入った乳製品を、

EUは「発ガン性がある」として輸入を拒否し続けています。

しかしながら、日本はこの遺伝子組み換え成長ホルモン「γBGH」の輸入は禁止しているものの、

「γBGH」が入った乳製品(脱脂粉乳、バター、チーズ)は輸入しているといいます、、、

「γBGH」は牛のミルク生産量を最大40%も増やす上、成長速度が速くなって餌代が節約できるホルモン剤だ。肉は柔らかくなり量は増え、牛の性格が温厚になるというおまけまでついてくる。まさに酪農家にとって夢の薬剤として、モンサント社が開発し1993年に承認されて以来、瞬く間に全米の乳牛に注射され大ヒット商品になった。(p96)

普通の牛乳との違いを見分ける表示はなく、「不使用」表示をつける場合はその横に「γBGHは安全です」というシールを貼ることが、FDAによって義務づけられている。(p97)

アメリカでは巨大企業に不都合な報道はマスコミに一切出ない。(p97)

不使用表示をつけているのに「γBGHは安全です」シールを貼らせるとは、、、消費者を誘導しているとしか思えません。

しかしながらFDA(アメリカ食品医薬品局)へは、

モンサント社幹部が大勢出向している(p97)

ため、モンサント社がビジネスしやすいような環境構築に余念がないのは、当然なのかもしれません。

γBGHの普及を大いに推進したFDAのテイラー副長官は、在任中の功績を高く評価され、政府職員を退任した後はモンサント社の副社長に迎え入れられている。一方、FDA内部でγBGHの危険性を訴えた1人の獣医師は、「不適格者」の烙印を押され、速やかに解雇された。(p97)

国民のために行動・発言した人々が、巨大利権をもつ組織に消されることは、日本を含めた世界中で起きています。

逆に、国民のためにならない行動・発言をしていても、巨大利権を守ったり拡大したりする人々は、

政府や大企業に関連する高待遇ポストが用意されている印象です。

一方、EUでは、

イタリアやフランス、プエルトリコでは、成長ホルモン残留牛肉を食べた幼児に乳房の巨大化や初潮開始などの報告が出て(p98)

いたため、成長ホルモン入り牛乳、アメリカ産牛肉自体を輸入禁止にしているようです。

その前にアメリカが、

「科学的に健康被害を証明できないなら、輸入禁止は認められない」とWTOに提訴(p97)

し、WTOから違反判決を出された後もEUは、

「健康被害リスクがある成長ホルモン牛乳はお断りだ」とWTOを無視、頑として米国産成長ホルモン入り牛乳と牛肉の輸入禁止を続けている(p98)

そうです。

日本政府にも、そうした対応を見習ってもらいたいものですが、現状を見る限りでは売国政府そのものなので難しそう、、、

アメリカでは、

1998年に科学誌にγBGHががんの発症率を上げるという論文が発表され、全米で「γBGH反対運動」が起きるまで、米国民は何も知らされずに、成長ホルモン入り牛乳を飲み続けていた(p97)

そうですが、『日本が売られる』で似たようなことが日本でも起こっていることを知り、驚いています。

γBGHは、現在日本を含む27か国で輸入を禁止されているが、前述した鈴木宣弘東大教授によると、実はγBGHが残留する乳製品は、すでに日本の検査をすり抜けて入ってきているという(p98)

のです。

しかも、

国内での使用が禁止されていて残留基準自体が存在しないため、輸入品に含まれるγBGHをチェックしていない(p98)

というから唖然、、、

さらに、

日米FTAの発効後は、食品安全基準を自国で判断することができず、全て「コーデックス委員会」の国際基準に合わせなければならなくなる。

コーデックス委員会とは世界の食品と健康食品の貿易を推進する国際機関だが、メンバーがグローバル企業の代表で占められていることはほとんど知られていない。彼らが作った業界寄りのルールでは、輸入品を規制するには「その健康被害を科学的に証明」しなければならず「予防原則」は通用しない。(p98)

これでは、例え危険な食品が輸入されたとしても、

規制するためには、科学的に証明できるだけの健康被害が出るまで、

その危険な食品を食べて犠牲になる国民が必要、ということになってしまいます、、、

日本は、1966年にコーデックス委員会に加盟しているようですが(コーデックス委員会 農林水産省)、

2020年1月1日に日米FTAが発効されたため、現状すでにこんな滅茶苦茶なルールがまかり通っているわけです。

アメリカ産の成長ホルモン入り乳製品が入ってくるのを止めるのも、「成長ホルモン入り」の表示をつけるのも、日本では難しくなる(p98、99)

というように、これではもはや輸入食品に食の安全を求めること自体が不可能でしょう。

ちなみに、2020年時点における乳製品の主な輸入先は、EU、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカとなっていて、アメリカの比重はそこまで多くありません(牛乳・乳製品の輸入について 農林水産省 )。

ただ、チーズやバター、アイスクリーム以外の乳製品には、原産地表示がなされていない場合が多いため、

脱脂粉乳(スキムミルク)、ホエイ、全粉乳、加糖練乳、乳糖(ラクトース)などがアメリカ産である可能性もあります。

また、乳製品が国産の場合でも、牛の飼料は輸入が多いため、畜産農家がよほどこだわっていない限り、乳製品および牛肉の安全性は不確かです。

そうしたことを踏まえると、現状、日本へ輸入されているアメリカ産食品には、

農薬、遺伝子組み換え、ゲノム編集、成長ホルモンなどによる健康被害リスクが予想できてしまいます。

そのため乳製品だけでなく、アメリカ産小麦、大豆、なたね、肉類(牛肉はほぼ100%成長ホルモン使用)、いくら、サーモンを使用した食品はできる限り避けるようにし、

健康被害リスクを下げる行動が必要だと認識し始めています。

ただ、自宅にある食品の原材料表示を確認したところ、小麦、大豆は植物油脂添加物として数多くの食品に使用されているため、

相当気を付けて食生活を営んでいない限り、避けることは困難だと感じています、、、

もちろん、健康被害リスクを高める原因は食品だけでなく、ストレス、睡眠、生活環境、その他あらゆるものが考えられます。

が、健康被害リスクが想定されるがゆえに他国が輸入禁止している食品を、

日本政府が輸入禁止せず国民に摂取させ続けている現状では、自分たちで身を守る行動が不可欠です。

対米隷属がいつまで続くのか分かりませんが、、、

日本列島に暮らし、危険なアメリカ産食品を口にする可能性がある限り、

食生活を含めて自己防衛し続ける必要があると強く思っています。

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