の続きです。
多くの日本国民を貧困化し、グローバル企業と投資家が儲かる政策を強行する日本政府ですが…
『沈みゆく大国 アメリカ』(堤未果、2014)では、GPIFへの警鐘も鳴らされていました。
GPIFとは年金積立金管理運用独立行政法人のことで、厚生年金と国民年金を運用する独立行政法人です。
日本政府の「100兆円を超える年金資金をもっと株式に投資するべきだ」という意向に沿い、
GPIFは、2014年に株式保有率の上限を撤廃したようなのですが、同時にその運用委託先も変更。
高い報酬を払って新たに選んだ運用委託先は、
米国のゴールドマン・サックスや英国のイーストスプリング・インベストメンツ社など、一四社のうち一〇社を外資系金融機関が占め(p198)
る形で、国内金融機関は入っていません。
運用受注だけで年間数億円の手数料が、これらの外資系金融機関と海外投資家に入るそうですが、
堤氏が指摘するように、
六七〇〇万人が加入する公的年金の運用に失敗した時、年金保険料の引き上げや給付削減という形でそのツケをかぶるのは他でもない国民(p198)
です。
政府は「社会保障費が足りないから消費税を上げなければならない」と、法人税を減税しながら言い続けていますが、
外資系金融機関に公的年金を株式運用させ、17兆円も溶かした政府に言われたくありません。
前首相は政権支持率を維持するために、公的年金の株式運用を増やして株価を上げていたそうですが、
この手の博打に失敗した時、莫大な手数料と短期的な利益を得る人々が一切責任を取らず去ってゆく(p199)
のを、これまでも何度も目の当たりにしてきました。
年金財源を溶かした件でいえば、厚生年金保険制度回顧録。
この動画を見ると、年金制度は作った当初からおかしかったことが分かります。
全国13か所に建てたグリンピアで3800億円使った際にも、誰も責任をとりませんでした。
近年、受給年齢の引き上げや受給金額の減少によって年金システムを維持していますが、
GPIFによる運用が、大半の国民の利益ではなく、
外資系金融機関と海外投資家の利益を優先している可能性があるように感じて、不安に思っています。