『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』⑫日本に対する敵国条項は今も有効

『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』⑪国連の成り立ちと敵国条項
の続きです。 前回、大西洋憲章(=アメリカ・イギリス共同宣言)について少し書きましたが、、、 これは1941年に、第二次世界大戦後の戦後処理構想や国際協調のあり方を、 アメリカ大統領とイギリス首相が会談して合意した憲章なのですが、 この共同...

の続きです。

敵国条項が適用される国の名は、国連憲章に書かれていません。定義としては、

「第二次世界大戦中にこの憲章の署名国の敵だった国」(第五三条二項)となっており、日本、ドイツ、イタリア、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、フィンランドの七ヵ国を意味するというのが定説になっています。しかしそのうち日本とドイツ以外の五ヵ国は、すべて大戦中に枢軸国側から離脱し、日本とドイツに対して宣戦布告をおこなった国々です。そうした意味で真の敵国条項の対象国は、当初から日本とドイツの二ヵ国だけだったと言えるでしょう。(p211)

国連憲章は、戦後の国際社会の基礎であり、国連加盟国が結んだ

あらゆる国際協定のなかで、国連憲章が最優先される。つまり国際法上の最上位に位置する。

これが大西洋憲章で英米が定めた「第二次大戦後の世界」の基本的な枠組みでした。そこでは国際法が最大の武器となる。(p212)

そんな国際法の最上位に位置する国連憲章において、「敵国」指定されている日本がどう扱われているのかというと、

五三条で、

第二次大戦後の敗戦国である日本やドイツが、ふたたびナチズムや軍国主義を復活させ、侵略政策を開始するようなことがあったら、安全保障理事会の許可なしに攻撃してもよいとしているのです。(p214)

そして、この条文は戦後70年以上経った今でも削除されていません。

1995年の国連総会で

敵国条項(第五三条、七七条、一〇七条)をすでに「死文化(become obsolete)」ものと認め、憲章から削除するという決議案(A/RES/50/52)が、賛成一五五、棄権三(北朝鮮、キューバ、リビア)という圧倒的多数で採択されています。(p215)

にもかかわらず、国連憲章を改正するために必要な、安保理常任理事国5か国の批准などが障害となり、

いまだに「敵国条項」は国連憲章に存在し、それが国によっては外交カードとして使われているのが実態なのです。

そして、第107条においては、

国連憲章のすべての条文は、戦勝国が「敵国(敗戦国)」に対しておこなった戦後処理の問題については、いっさい適用されないということが書かれています。(p217)

つまり、この条文があるからこそ、米軍による日本への駐留は、独立後70年経った今でも継続しているのです。

にほんブログ村 ライフスタイルブログへ にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ ライフスタイルランキング
社会
シェアする