引き続き、『日本が売られる』(堤 未果、2018)から引用します。
グリホサートは1974年に農薬企業の最大手モンサント社が開発して特許をとり、「ラウンドアップ」という商品名で売り出した、世界最大の売り上げを誇る化学除草剤だ。(p65)
日本ではモンサント社と提携した住友化学が販売しており、2000年に特許が切れた後は、そのジェネリック版が「草退治」(住友化学園芸)など複数の新しい商品名で、各地のホームセンターで売られている。(p65、66)
ダイオキシンやPCB(ポリ塩化ビフェニル)などを製造するモンサント社は、デュポン社、ダウ・ケミカル社、シンジェンタ社などの化学企業と同様に、長い間アメリカ国防総省と契約し軍事物資を提供していた。戦時中、窒素製造施設で爆弾や弾丸を作り、ベトナム戦争では枯葉剤を作っていた同社は、戦争が終わると次のビジネスとして、農薬と化学肥料の世界市場、アグリビジネスに目をつける。(p66)
軍需産業が儲からなくなってきたため、これから儲かりそうな農業、食料、医療産業に参入したようです。
使っているうちにどんどん使用量が増えるグリホサートが人の健康に及ぼす影響について、やがてあちこちから疑問の声が出始める。微かな量でも生き物の腸内細菌や神経系統、消化器や生殖器に、マイナスの影響があることがわかってきたのだ。(p68)
アメリカのソーク生物学調査研究所のデービッド・シューベルト博士は、グリホサートの蓄積が、がんを含む多くの健康リスクをもたらすとの警告を出した。(p68)
アルゼンチンでは、微量のグリホサートを使った実験で奇形の発生が確認され、グリホサートに汚染した地下水によって、周辺地域の住民にがんが平均の41倍発生、白血病や肝臓病、アレルギーなどの健康被害が報告されている。(p68)
他国でこうした健康被害が報告されているにもかかわらず、日本ではいまだに農薬との因果関係を認めていません。
もしかすると、農薬が日本人におけるがん発症の主原因になっているかもしれないのに、です。
想像でしかありませんが、仮に農薬とそれらの健康被害の因果関係を認めてしまうと、その損害賠償費用が莫大な金額となるだけでなく、農薬を使わなくなることでがん発症者やその他病気が激減してしまうと、抗がん剤利権やその他の医療利権を失う可能性があるため、農薬使用は止められないのでは?と思うところもあります。
農業業界と医療業界がグルどころか、食品業界と農業業界で毒を食べさせて、病気を増やせば医療業界が儲かるので、全部グルなのではないかと思えてしまいます、、、
グリホサートに関して、
オランダ、デンマーク、スリランカ、コロンビアはいち早く使用を禁止(p69)
したが、
日米両政府は、この間ずっと二人三脚でグリホサートの危険性を否定し続け、製造元のモンサント社は、健康被害を示す数々の報告は全て科学的根拠に乏しいと批判しながら、安全性を主張している(ただし、その調査データは非公開だ)。(p69)
日本で農薬を販売している企業はモンサント社を擁護する発言を繰り返していますが、自社の利益を守るため&日本という国の立場からか、アメリカに追従する姿勢がどこまでも一貫しているようです。
2017年の6月。農水省はグリホサート農薬の残留基準を再び大きく緩めることを決定(p71)
今回はトウモロコシ5倍、小麦6倍、甜菜75倍、蕎麦150倍、ひまわりの種400倍という、本家本元アメリカもびっくりの、ダイナミックな引き上げ案だ。(p71)
こうやってたびたび残留農薬基準を上げる理由は、上記農産物の大半は農薬使用量上位国からの輸入が多いため、輸入しやすくするためでもあると思います。
2019年時点の主な輸入先を見ると(帝国書院HP)、トウモロコシはアメリカやブラジルから。小麦はアメリカ、カナダ、オーストラリアから。蕎麦は中国、アメリカからとなっています(甜菜とひまわりの種は不明)。
また、既存の使用量では除草できなくなったり、小麦などは収穫直前にグリホサートをかけると収穫しやすくなったりするため、全体として使用する農家が増えていることもあると思います。
下記記事でも書いたように、血圧基準値と同様、残留農薬基準値もコロコロ変えていますが、、、共通しているのは降圧剤使用量や農薬使用量を現状維持したい、もしくは増やしたいと思っていることです。
本来であれば、環境にも生物にも悪影響のため使用量は少なければ少ないほどいいはずですが、利権確保のためには使用量を減らさないための基準値操作が必要なのかもしれません。
外資を含むグローバル企業からの圧力があれば、利権を手離したくない官僚(農水省や厚労省)や政治家たちは、国民の命や健康よりも利権確保を優先してしまうのだろうと思っています。