西安・華清池をのんびり歩く

西安の東にある驪山(りざん)。この山のふもとに、唐の時代に玄宗皇帝と楊貴妃が過ごした華清池があります。

華清池は驪山が爆発してできた温泉地で、周の時代から歴代皇帝が離宮を建設し過ごした地として、3000年以上の歴史があるそうです。

そして、唐の時代には玄宗皇帝が楊貴妃と過ごすために華清宮を建て、それが今に至る華清池となっています。当時、玄宗皇帝は毎年10月になると長安を離れて、この華清池に避寒する習慣になっていたとのこと。

驪山へは、華清池から見ても分かるようにロープウェイで登ることもできます(登ったことはありませんが)。

唐の時代、華清宮の周りは外郭に囲まれ楼閣も多くあり役人も大勢いたといいますから、現在ある建物群よりも立派だったことでしょう。

ちなみに、華清池といっても今ある池は数年前に人工的に造られたもの。唐の時代には、大量の温泉が沸き出て華清池と呼ぶにふさわしい状態だったはずですが今は無きものに。残念です。

また、華清宮内にある楊貴妃の像も最近造られたもの。行く度に場所が変わっているのが何とも中国らしいですが、近づいて一緒に写真を撮れる時は記念に撮っておくと思い出になります。

そんな観光地化された華清池ですが、ここで唐の時代に玄宗皇帝と楊貴妃が過ごしたこと、また歴代皇帝が離宮として過ごしたことは紛れもない事実です。

そんな事実を示すかのように、華清宮の建物内には楊貴妃が実際に使用していたとされる蓮の形の浴槽や、玄宗皇帝の使用していた巨大な浴槽(こちらは復元)、家臣が使用していた浴槽があります。

玄宗皇帝の浴槽は個数・大きさともに楊貴妃のそれを上回っていたので、寵愛していたなら自分と同じかそれ以上の豪華な浴槽を造ってあげれば良いのに、と思いました。

が、こんな壁画からも分かるように、当時の中国皇帝は絶対的な権力保持者でしたから、いくら楊貴妃でも皇帝以上の扱いを受けることは不可能だったのでしょうね。玄宗皇帝56歳、楊貴妃23歳という年齢差も影響していたかもしれません。

ちなみに、華清池への入場料は70元(約1100円)。この華清池周辺では今でも温泉が沸き出る場所があるようで、周囲には温泉施設もありました。

多くの観光客が訪れる現在の華清池ですが、歴代皇帝たちが過ごした華清池には現在の建物からは想像できない長く深い歴史がありそうです。