パリ観光は観光客が少ない11月が最適、オルセー美術館【後編】

パリ美術館観光は観光客が少ない11月が最適、オルセー美術館【前編】のつづきで印象に残った作品を掲載。

作者やタイトルが分かるものは記載しましたが、不明の作品は画像のみ掲載しました。

まずこちらは、ミレーの「羊飼いの少女」。

1864年の作品で、羊達が草を食べている傍で、夢中になって編み物をしている可愛らしい少女の姿が描かれています。大地とともに生きる農民の姿を、崇高な宗教的感情を込めて描いたミレーの作品は、「晩鐘」や「落穂拾い」などでも描かれています。

同じくミレーの「春」。

1868~1873年に描かれたもので、題名の通り暖かい気持ちなる絵ですが、右側が暗くなっていて明るいだけの絵ではないことが感じられます。

1855年にコンスタン・トロワイヨンによって描かれた「耕地へ向かう牛、朝の光景」。

農作業場へと追い立てられてゆく牛の姿が印象的です。

エドモン・クロス の 「夕風」。

1893~1894年に描かれたこの絵画は、夕日が差し込んでいる感じが表現されています。点描画がエドモン・クロスの特徴だそうですが、後に現れる20世紀の画家アンリ・マティスに多大な影響を与えた画家ともいわれています。

クールベの「ブレズィール・フォンテーヌの小川のほとりの鹿の来る空地、ドゥブ」。

この絵では、ハンターの手が及ばないところで、鹿がのんびりとくつろいでいる姿が描かれています。故郷オルナンでの経験と思い出を生かして、自然の中にいる動物を盛んに描いた作品の1つです。1866年に描かれました。


ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」。

モンマルトルで写生したとされる一枚で、笑顔で楽しそうな大勢の人が描かれています。ルノワールの絵画には、「 絵画は楽しいものでなくてはならない(人生は辛いのだから)」という主旨の発言を生涯繰り返していることからも分かるように、暗い印象の作品は見当たりません。

同じくルノワールの「アルジェのアラブの祭日(モスク)」。

ルノワールを代表する風景画作品のひとつといわれるこの作品は、1881年に旅行したアルジェリア滞在時に同地で制作した数点の作品の中の一枚で、アラブ(アラビア)の祭りの様子が描かれています。

ラトゥールの「ドラクロワ礼賛(ドラクロワへのオマージュ)」。

ドラクロワを信望していた当時の若い芸術家や批評家たちの集団肖像画でもあるこの絵は、画面中央に掲げられたドラクロワの肖像画を中心として、若き芸術家や批評家らが描かれています。

画面左側には、前列に左から真横を向いた批評家デュランティと、白いシャツを着た画家ラトゥールの自画像、そして画家の良き友人でもあった主に英国で活躍したアメリカ人画家マクニール・ホイッスラーの立ち姿があります。

また、後列にはコルディエールと画商ルグロの姿が、画面右側前列には(左から)腕を組みながら座る批評家シャンフルーリと、19世紀のフランスを代表する詩人シャルル・ボードレールが、後列には印象派の先駆者エドゥアール・マネと、当時の人気版画家ブラックモンとバルロワの姿が描かれています。

個室に展示されているものや、こんな風に広い場所に展示されているものなど様々ですが、どちらもゆっくり鑑賞できます。

クロード・モネの「アルジャントゥイユの橋」。

この作品は、パリの北西セーヌ川右岸にあるイル=ド=フランス地方の街アルジャントゥイユにある橋の情景を描いた作品で、1871年からアルジャントゥイユ滞在したモネが、その美しい風景に魅了され精力的に手掛けた絵画の1つです。中でもこの作品は、色彩分割による印象主義的表現の完成度が非常に高い作品としても知られているそうです。

同じくモネの「モントルグイユ街、1878年6月30日の祝日」。

パリ万国博覧会の関連として、パリ・コミューン後、政治体制が第三共和制となったフランスで初めての国民の祝日を祝うモントルグイユ街の様子が描かれています。大通りを闊歩する万国博覧会を訪れた観光客とパリ市民らの混雑の様子が描かれていますが、モントルグイユ自体は労働者階級の街だったそうです。

ジョルジュ・ロシュグロスの「花の騎士」。

1894年に描かれたこの作品は、ワーグナーの曲に影響されているといい、「パルジファル」第二幕、クリングゾルの城でパルジファルにまとわりつく花の乙女たちの場面に基づいているのだそうです。なんだか美しい絵だったのでつい写真に収めてしまいました。

ジュール・ユジェーヌが1872年に描いた「夜と朝と女神達」。

これは、オペラ・ガルニエ客席ホールの初代天井画の最終下絵で、オペラ座が1875年に完成してから約90年間、客席の上にはこのような女神達が描かれていました。オルセー美術館内には、オペラ・ガルニエコーナーが設けられていて、関連する作品を鑑賞することができました。

カルポーの「ダンス」。

なんだか楽しそうな彫刻です。カルポーは、ナポレオン3世の時代を代表する彫刻家で、皇太子ルイのデッサンや彫刻の先生をつとめるなど、皇室一家のお気に入りだったそうです。

この作品は、オペラ・ガルニエを飾るため1865~1869年にかけてつくられましたが、完成当時は裸の女性たちがあまりにも生々しいため、民衆の非難を浴びてしまったそうです。現在、オペラ・ガルニエに同じ彫刻が飾られていますが、それはコピーでこちらがオリジナルだといいます。

カロリュス=デュランの「手袋の婦人」という作品。

1869年に描かれたこの作品には、暗い室内で手袋を外す女性の姿が描かれています。モデルの女性は、デュランの妻で、デュランが経済的な苦難や病気により苦労の末にサロンに出品した作品となりました。本作品が正統派の肖像画として評価を得たことで、彼の名も有名になったといわれています。

絵画に圧倒され疲れてしまうので、休み休みゆっくり鑑賞するのがおすすめです。

現代アートも展示されており、ポンピドゥーセンターに飾られている作品のようでした(「パリ美術館観光は観光客が少ない11月が最適「ポンピドゥー・センター(国立近代美術館)」」)。

ちなみに、オルセー美術館でも、パリ市内にある他の美術館同様「パリミュージアムパス」が使えるため、持っているとスムーズに入退場でき便利です。

鑑賞し疲れたら一旦外へ出て休憩し、また入ることができます。

前回行ったときも、外の売店でドーナツを買って食べながら、休み休み鑑賞しました。

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