の続きです。
前回、日本の支配層の総意として昭和天皇が、
沖縄における軍事占領の継続と、日本各地での米軍駐留を、GHQと国務省に希望した旨を書きました。
なぜ、アメリカ政府(国務省)やアメリカ国民が、沖縄を非軍事化して返還すべきだと繰り返し主張していたのに、
日本の支配層はそれに乗らなかったのか。
それは、「沖縄メッセージ」にある記述から読み取ることができます。
「天皇はそのような措置〔=米軍による沖縄の軍事占領の継続〕は、ソ連の脅威ばかりではなく、ソ連が日本に内政干渉する根拠に利用できるような『事件』を引き起こすことを恐れている日本国民のあいだで、広く賛同を得るだろうと思っている」(p261)
これは、
ソ連が日本国内の共産主義者を使って内乱を起こし、それに乗じて一気に体制を転覆して、自分たちの首をはねてしまう(p262)
ことへの恐怖が、昭和天皇の側近グループなどの日本の支配層全体にあり、
その結果、米軍による沖縄での軍事占領、日本各地における米軍駐留を希望したというのです。
ということは、
沖縄での軍事占領、日本各地への米軍駐留、米軍基地における空域支配、米軍機による低空飛行など、
国内法を適用せず日本国民よりも米軍の権利を尊重させている国際的にも異常な状態は、
当時、日本で共産主義革命が起こって自分たちが死刑になることを恐れた日本の支配層が希望した結果
起こっているということになります。
ということは、アメリカに誘導されて出された最高裁判決とはいえ、
米軍の権利を日本国民の権利よりも尊重し、日本国憲法をないがしろにした砂川判決のそのままの姿勢が、
当時の日本の支配層にあったということになります。
日本の国益、国民の自由や権利を犠牲にしてでも、自分たちの命を守る
という姿勢です。
冷戦の始まりによってアメリカの世界戦略が変わり、対日軍事政策も、(中略)、冷戦対応型の新しい路線(沖縄にも本土にも巨大な米軍基地をおき、日本全体を反共の防波堤にする)に方向転換(p264)
した結果、
「すべての軍事力と交戦権を放棄した憲法九条二項」と、
「人類史上最大の攻撃力をもつ米軍の駐留」
が共存するという、きわめて大きな矛盾(中略)を内包したまま、「米軍が天皇制を守る」という非常に歪んだ形で、戦後日本(安保村)の国家権力構造が完成することになったのです。(p265)
沖縄における軍事占領と、日本各地での米軍駐留、巨大な空域支配、低空飛行訓練などにより発生した
事件や事故など(国際的に見ても違法な行為)を、日本国民が日本政府へ訴えても、
周辺諸国による軍事的圧力がある、などとメディアを通じて流し(防衛費増額時と同じように)、
そうした周辺諸国の脅威から米軍が日本国民を守ってくれるから辛抱せよ的姿勢を、
日本政府は長らくとってきたように思います。
しかしながら、米軍が守るのは天皇制であって、日本国民ではないのです。
そしてこれまでも繰り返し書いたように、
日本政府が尊重するのも米軍の権利であって、日本国民の権利ではないのです。
つまり、戦後の対米隷従状態(自民党政権時代)や、アメリカの利益となる政策が行われているのをみれば、
日本国民の命や健康は犠牲されつづけると考えるのが必然かと。
この異常状態が、長期的にみて日本の国益になり、日本国民の命や健康を守ることにつながるとは、思えませんが、、、
これが戦後?というか明治維新以降における日本の支配層の、一貫した姿勢だと思っています。