の続きです。
くり返しになりますが、結局、決め手は憲法です。憲法によって政府の暴走をとどめ、戦争を防ぎ、人びとの人権を守るしかない。(p280)
と著者は主張していますが、今の日本にいる軍国主義的思想をもつ政治指導者と知識人のもとで憲法を改正すれば、
自民党改正草案のような戦前回帰思想にもとづく憲法がつくられる可能性が高い(著者もそれは指摘しています)。
そこへ、軍需産業で儲け続けたい安保村関係者からの圧力が加われば、
数百兆円の利権を手放さないために、国民の人権と自由を制限する軍国主義的憲法ができあがるでしょう、、、
GHQが日本国憲法の草案を書く三ヵ月前(一九四五年一一月)(p280)
GHQのラウエル陸軍中佐は、憲法改正の準備作業として、
大日本帝国憲法(明治憲法)を分析するよう命じられます。テーマは、
「なぜ戦前から戦中にかけて、日本の軍部は国政を私物化できるようになったのか。その原因を、大日本帝国憲法のどこに欠陥があったかという点から分析せよ」
というものでした。(p280、281)
それからわずか1カ月で、ラウエル陸軍中佐は分析した結論をGHQ司令部に提出。
そこには、
いまと、ほとんど変わらない日本社会の問題点(p281)
が指摘されていました。
「過去の日本における政治権力の運用を分析した結果、数多くの権力の濫用があったことがわかった。そうした濫用が過去二〇年間にわたり、軍国主義者たちに日本政府を支配させ、国政を私物化することを可能にしてきた。(略)
日本に民主主義的な傾向がしっかりと根づくためには、次のような悪弊を是正することが必要である。
- 国民に、きちんとした人権が認められていないこと
- 天皇に直結し、国民の意思を反映する責任のない憲法外の機関があること(略)
- 裁判所が裁判官ではなく、検察官によって支配されていること。両者はともに天皇の意思の代理人であること
- 政府のあらゆる部門に対して、憲法によるコントロールが欠けていること
- 政府が国民の意思を政治に反映させる責任を負っていないこと
- 行政部門が立法行為をおこなっていること」(原文からの矢部訳)
(p281)
そして最大の原因は、
天皇制というシステムのなかに、憲法を超える(=オーバーオールする)機能が内包されている
(p282)
ことだと指摘。
戦前の日本では、裁判所(=司法)が「天皇の意思」の代理人である検察(=行政)によって支配され、立法も「天皇の命令(勅令)」という形で官僚(=行政)が自由におこなえるようになっていた(大日本帝国憲法第九条)(p282)
ため、三権分立といいつつ
天皇の威を借りながら、司法、立法ともに、行政である検察や官僚が支配していました。
それが戦後は、 天皇 → 天皇+米軍
昭和天皇が亡くなった後は、 天皇+米軍 → 米軍+官僚 となり、
「天皇なき天皇制」が完成してしまった(p282)
というわけです。
著者は、
こうした事実上の行政独裁体制は、(中略)、環境の変化に応じて過去の利権構造を清算し、方向転換することができない。外部要因によってクラッシュするまで、ひたすら同じ方向に進み続けてしまう。(p282、283)
と指摘しています。
「外部要因によってクラッシュするまで」対米隷従の政策が続くとしたら、、、恐ろしいです。
近年強行されたさまざまな政策が、世界の流れとは悪い意味で逆行しているものが多いため、
国内の利権関係者の論理には、国際的見解が反映されていない井の中の蛙意見が多いと判断しています。
そんな政策を強行していれば、国際的に孤立していく可能性が高いような、、、
そんな行政暴走中の日本で、今後も健康に生き抜くためには、
信用・信頼のおける情報筋から国際的見解を知り、真実に近い情報を得ながら、
自ら判断しつつ、今後の人生を随時決めていくしかないと考えています。