西安・大興善寺をのんびり歩く

西安の南にある「大興善寺」(だいこうぜんじ)は、晋の時代265年に創建された1700年以上の歴史を持つ寺院です。

当初は尊善寺と呼ばれていましたが、隋の文帝が582年に拡張して大興善寺と改名して今に至るらしい。

756年に密教の中心寺院となってからは、空海や円仁、円珍も修行したといわれていて、数多くの僧侶が修行していたことが伺えます。

空海ゆかりのお寺といえば青龍寺が有名ですが、こちらでも修行していたみたい。

現在の大興善寺が建てられたのは明代になってからなので、建物自体は西安城壁と同じ歴史。

唐の玄宗皇帝時代、インド人僧侶の善無畏、金剛智、不空の3人がこの寺へ密教を伝え、仏教経典を翻訳する三大訳所の一つとなった長安。

インド人僧侶たちは寺院内に居住し経典を翻訳したそうですが、果たして当時の食事がインド人の口に合ったのかは疑問です…

当時は今のように飛行機や電車、バスもない時代。

命がけでシルクロードを通ってきた訳ですから、隋・唐時代の長安がいかに栄えていて自国よりも希望に満ちた土地であったか、ということなのでしょう。

現代では険悪の仲である中国とインドも、当時はシルクロードを通じた交易(他に敵がいたから?)により、

仲が良かったのかもしれません。

インドでよく見かけたゾウやマニ車。

境内にあったゾウの像やマニ車は、このお寺がインドに関係するものであることを感じさせます。

建造物が多いのですがこんなもの?ばかりで、唐代のものは残されていない様子でした。

仏像も新しいものばかりで、せっかく歴史あるお寺なのに観光客向け寺院という印象で少々残念。

こんな現代風の装飾に幻滅しますが、いかに大興善寺が古いもので、明代にも再現できない建造物であったかということでしょう(と思いたい)。

とはいえ、ここに1700年以上も前からお寺があり、日本からの遣唐使が来て修行をしていた事実に変わりはありません。

時を経て交通機関が発達し、多くの人々が訪れるようになった大興善寺に、ほんの少しだけ当時の面影を感じられたような気がします。