『タネはどうなる?!』絶望的な気持ちになる現実だが、諦めない【前編】

数年前に日本の種を取り巻く状況を知ってから、「在来種・固定種のタネを守らなければ」と思い始めて。

それが『タネはどうなる?!』(山田正彦、2018)を読んで、さらに強い思いになりました。

ただ、現状はより大きな視点で見ると、かなり危険な状況にあることも分かり、、、

読みながら重~~~い気持ちになりました。

と同時に、日本の土地を破壊する政府に対する怒り、情けなさなども湧いてきました。

普段、農業や食料の安全、食料自給率などに関する情報は、鈴木亘弘氏や印鑰智哉氏のTwitterから得ています。

が、この山田正彦氏の本は元農水大臣であるためか、内部事情を知り得る人間だからこそ可能な突っ込んだ指摘がつまっていて、、、

読み進めるのが辛い現実がこれでもかと続きます。

「スーパー301条による鉄鋼」(p125)

や、

「かつて米国は『対日年次要求』という形で、日本に大型商業施設の開放を求め、EU諸国は断ったので専門店が残っているが、日本は瞬く間に商店街が消えてしまった。郵政民営化については米国ですら郵政事業は公共サービスとして国営で残しているのに、構造改革の美名のもとに民営化をさせられた。(p125)

などの箇所を読んでいると、今日のタネを取り巻く状況は、米国との長年の流れで起こるべくして起こったと言える気がします。

日本政府が進めている政策全般が世界的な流れとは逆行し、TPP協定に沿って多国籍企業の利益誘導をしているとしか思えない点には絶望を感じるばかり、、、

アメリカの農民は4大アグリ多国籍企業の借金漬けになって奴隷農場と化してしまったように、いずれ日本の農業も大企業の奴隷農場になるのではないだろうか。(p168、169)

という著者の懸念が現実にならないように、祈るような気持ちでいます。

日本では真実の報道ができなくなってきている。(p181)

という指摘は、新しい戦前というか戦時中のような状況なのかも、、、

米国が遺伝子組み換え作物を20年前に普及させるためにヒトが食べるのではなく家畜が食べるものだとしてトウモロコシ、大豆で始めたように、日本政府も飼料用米は家畜が食べるもので、主食用とは異なりヒトの健康に害はないとして、取り組むことは十分考えられる。(p183)

アメリカで起きたことは日本でも起きるのが通説なので、著者の指摘が現実化する可能性が高そう、、、

しかも、

飼料用米で遺伝子組み換えの種子が栽培されるとコメの花粉が風によって1・5キロ先まで飛散して受粉することが確認されている。そうなれば、日本の食用のコメであるコシヒカリなどが遺伝子組み換えのコメと交雑してしまうことになるであろう。有機栽培、自然栽培でコメを栽培してきたコメ農家は遺伝子組み換えのコメではないことの表示ができなくなることになるのではないだろうか。(p183)

現に米国やカナダでは遺伝子組み換えの種子の花粉に汚染されて有機栽培を行えない地域が広がっている。メキシコでは政府の調査でも種子汚染は深刻である。(p183)

これまでにも日本政府は、国民に必要な法律を廃止したり、国民に不利益となる法律を通したり、国民に必要な情報を隠蔽したりしてきました。

それは結果、アメリカやグローバル企業の利益につながっています。

そうした流れが、今度は農業分野において起ころうとしていて、、、

長くなるので続きは後編へ。

『タネはどうなる?!』絶望的な気持ちになる現実だが、諦めない【後編】
の続きです。 モンサントの看板商品であるラウンドアップ(主成分はグリホサート)を散布し続けた土地では、 それに耐性をもつスーパー雑草が次々に現れて(p185) います、、、人間以上の大きさの雑草らしいです。 さらに、 遺伝子組み換えの殺虫剤...