立て続けに堤氏の本を読んでいますが、どれも発行されてから5年以上経過しているため、
読みながら、「何でもっと早く読んでおかなかったんだろう…」と思うことがあります。
それでも知っておくべき内容なので読み続けていますが、、、辛い。
先日は、7年前に発行された『政府はもう嘘をつけない』(堤未果、2016)を読みましたが、
相変わらずの救いようのない内容で、読みながらため息しか出ませんでした。
なので、毎度のことながらショックを受けた部分を抜粋しておきます。
2016年、熊本地震が発生した際、当時の菅官房長官は、
緊急時に政府の権限を拡大する「緊急事態条項」を、憲法に加える必要性について強調しました。
しかしながら、
日本には、すでに5つの災害対策法(災害対策基本法、大規模地震対策特別措置法、原子力災害対策特別措置法、首都直下地震対策特別措置法、南海トラフ地震対策特別措置法)がある(p105)
ため、
現行の災害対策基本法でも、〈緊急事態宣言〉を出せば、政府は一時的に国民の権利を制限することが可能です。
にもかかわらず、なぜ日本政府はそこまで緊急事態条項を創設したいのでしょうか??
「緊急事態条項」が総理の権限を強化するのは、〈自然災害の時〉だけではない。
自民党の作成した憲法改正草案第9章の、98条と99条にあるこの条項を見てみよう。
ざっと要点をまとめると、ポイントは4つある。
①衆議院を解散しなくてもよい
②法律と同じ効力を有する政令を制定することができる
③総理や議員の任期などを延ばすことができる
④国民は公的機関の命令に従わなければならない(p105、106)
つまり、政府は①~④の権限を手に入れるため、緊急事態条項の創設を目論んでいると予想できます。
しかも、緊急事態条項の期間は最低100日となっており、自民党憲法改正草案の99条第1項にある通り、
〈緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる〉(p108)
という絶大な権限をもつことが可能となるのです。
これは、
「(略)1933年にナチスが成立させた【全権委任法】第1条の、『ドイツ国の法律は、憲法に規定されている手続き以外にドイツ政府によっても制定されうる』と、ほとんど同じ内容(略)(p108)
とのことで、その危険性が想像できます。
そういえば数年前、自民党某政治家のナチス発言がSNSで紹介されていましたが、
それを踏まえたうえで改めて自民党憲法改正草案を見ると、
まさにナチスのような独裁政治や戦前回帰を行おうとしているようにしか見えず、、、
国民として恥ずかしいやら情けないやら、しんどい気持ちになります。
フランスの非常事態宣言のように12日間という短期間でもなければ、
ドイツのように憲法裁判所があるわけでもない中で、創設されようとしている日本の緊急事態条項。
これにより、日本の内閣総理大臣は北朝鮮トップのような権力をもち、
その結果、規制改革やTPPのような政策がどんどん進められてしまう危険性が出てきます。
「あらゆるものをビジネスにして、公共サービスにも値札をつけるだろう?すると普通の国民は生活が苦しくなるから当然抗議デモをしたり、もっとひどくなると暴動を起こす。その時に〈緊急事態宣言〉を発動すれば、民衆の働きを一気に抑えられる(略)」(p114)
からです。
日本政府が今以上に多くの国民の声を無視する政治を行い、
庶民の生活環境がとてつもなく悪化した時、日本政府に対して声を上げようと行動しても、
緊急事態条項が創設されていた場合、緊急事態宣言を発動されて行動を封じ込められてしまいます。
自民党の憲法改正草案第9章98条・99条にある権限を、内閣総理大臣にもたせることは、
ナチスや北朝鮮のような独裁政権が日本に誕生する危険性を意味しています。