の続きです。
「国がおかしな方向に進んでいると感じた時は、誰が肝心の法律を作り、誰が得をしているかを見なきゃいけない。そういう連中は、決して表には出てこない(略)」(p114)
「気をつけろ。国民がギャーギャー反応する内容のほうは《目くらまし》である可能が高い。(中略)真の目的は、国民に気づかれないよう、地味に埋めこまれている」(p115)
自民党の憲法改正草案で、
多くの人が着目していたのは、国民の人権や自由、そして憲法9条でしたが、、、
この国の法律の9割は、(中略)、政府(首相+大臣)が出す閣法で、その中身は官僚が書いている(p116、117)
ことを頭に入れると、
憲法改正の真の目的は別のところにあるように思えてきます。
『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(矢部 宏治、2014)でも引用しましたが、
現在の日本は三権分立とは名ばかりで、三権全てを行政(=官僚)が独占する状態になっています。
つまり、国家運営のほとんどを官僚にさせているのです。
こうした事態になってしまった原因として、この本に書かれていた衝撃的事実は、
「(略)本来憲法に書かれた全体の奉仕者である《公務員》とは、国民の手で選ばれ、国民の手でクビにできる、《国会議員》だけ(p118)
で、
「官僚は憲法73条でちゃんと政治家公務員が使う『官吏』と書かれて(p119)
いるのですが、
その後、憲法が定めた「国会議員」ではない役人が、ある悪法によって国会議員と同等の「公務員」に入れられてしまった(p119)
のだそうです。
それが、1947年に作られた「国家公務員法」。
この役人の役人による役人のための法律によって、
公務が〈職員の福祉や利益の保護〉(p119)
となってしまい、、、
公務員給与をはじめとする各種手当と、天下り先の確保という、
全体ではなく自分たちの利益確保にしか動けなくなってしまっている(p120)
状態がずっと続いているというのです、、、
公務が職員の福祉や利益の保護になっている、、、
だからこそ、官僚達は日本の国益を無視し、大半の日本人の健康や命を犠牲にしてまでも、
天下り先確保のために動くのか、と合点がいきました。
しかも官僚が扱う
国家情報は、「特定秘密保護法」によって今後ますますその中身が見えなく(p121)
なるため、ますます行政の暴走が止められません。
何故「日本国憲法」が、選挙で落とせる「国会議員」だけを「公務員」として国家運営権限を持たせ、わざわざ「役人」を「官吏」という別枠に入れたのか。
それは民主主義にとって何より大切な「主権在民」を守るためだ。(p121)
『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(矢部 宏治、2014)に、
日本の政策は、月2回開かれる日米合同委員会で官僚+米軍により決められる、と書かれていましたが、、、
自民党の憲法改正草案を書いたのが官僚であるため、この草案通りに憲法が改正されてしまうと、
今以上に、官僚(=行政)中心社会になる危険性があります。
そんな中、それより先に、官僚を首相官邸の思うように動かせる法律改正が行われていました、、、
それが
「公務員法改正」(2014年4月の第186回国会で成立)(p125)
です。
これによって
約600人の省庁幹部人事を一元管理する「内閣人事局」を発足させ、これにより官僚幹部の人事には、全て首相官邸の意向が反映される仕組み(p125)
になってしまいました、、、
その結果、人事権を握る首相官邸に気に入れられようと、
「(略)それまで官邸が進めるTPPや農協改革に反対していた一部の農水官僚たちまでが、手のひらを返したように推進に回ってしま」(p126)
うようになったのです。
これと似た流れが、農水官僚以外でも起きていることは容易に想像がつきます。
近年の日本政府が、国益を無視したグローバル企業優遇政策を強行できるようになったのは、
2014年の公務員法改正が発端だったのかと合点がいきました、、、
「(略)昔は腹の据わった官僚が政治家に対してちゃんと物が言えました。
今は政府が間違った方向に暴走しても、盾をつく人が出てこない。なぜなら、審議官クラスから上は、すべて内閣の息がかかる仕組みになったからです。
人事権が握られたことで、本来骨のある官僚までもが”骨抜き”にされてしまったのです」(p128)
国会議員をバッシングするメディア報道はあっても、
官僚をバッシングする報道はほとんどない現実が、この国の現状を表しています。