に引き続き、『日本が売られる』(堤 未果、2018)から引用したいと思います。
2015年5月。厚労省が、ネオニコチノイド系農薬であるクロチア二ジンとアセタミプリドの残留農薬基準を大幅に緩和したことは、ほとんど知られていない。(p52)
ネオニコチノイドとは、「害虫だけに毒になり、私たちには安全」を謳いながら市場に登場した「夢の農薬」だ。(p52)
その効き目たるや抜群で、水によく溶け、土に染み込み、一度まくと数か月から数年間土壌にしっかり残留し、虫の神経に作用する毒性を発揮し続ける。(p52)
作っているのは世界3大農薬大手のバイエル社、住友化学、シンジェンタ社。(p52)
日本における用途としては、稲作、カメムシ対策で野菜や果物の畑に多く使われる以外に、松枯れ対策で松に注入したり、ヘリコプターで上空から散布したり、住宅建材に使ったり、ペットのノミ駆除薬に入れたり、幅広く使用されているみたいです。
ショックだったのは、
減農薬の特別栽培米でも、ネオニコチノイド系農薬を使っているものが少なくない(p53)
という事実です。
気になって、自宅で食べているお米の農薬種類を調べてみたところ、「ジノテフラン」というネオニコチノイド系農薬の使用が確認できてしまいました。
しかもそれ以外にも、ピカルブトラゾクスなどの殺菌剤、クロラントラニリプロールなどの農薬、フェントラザミドなどの除草剤が多数記載されていました。
農林水産省ガイドラインで定められている特別栽培農産物の基準は、
その農産物が生産された地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)に比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下、で栽培された農産物(農林水産省HPより)
となっています。
ということは、その農産物が生産された地域の農薬や化学肥料の使用量が、もともと高いレベルである場合、たとえ農薬や化学肥料使用量が5割減になっていても、大量の農薬や化学肥料が使われている可能性が高いのです、、、
もちろん、放射能汚染が広がっていたり、遺伝子組み換え肥料が使用されていたりする現状において、無農薬栽培や有機栽培が必ずしも安全であるとはいえないと思います。
ただ、農薬や除草剤には、がんや白血病、リウマチ、神経障害などの健康被害を引き起こす可能性があるほか、流産への影響も指摘されています。
亡き祖母は農家の長女として男性以上に働いていたらしいのですが、流産を4度も経験していました。その原因は忙しさのためだけではなく、もしかすると定期的に散布していた農薬が原因だったのかな、と思うところもあります。
あまり知られていないが、日本は世界第3位の農薬使用大国なのだ。(p53)
1位は中国、2位は韓国、3位は日本という感じで、アメリカや他国で禁止や規制がかかって在庫が余っている農薬や除草剤を、積極的に消費させられている現実があります。
もちろん気候的に虫が発生しやすいこともあると思いますが、それにしたって狭い国土のわりに使いすぎでは。
しかもそれだけでなく、
日本は畑にまく農薬だけでなく、国民が口にする食べ物の残留農薬基準もかなり緩い(p53)
から恐ろしいです。
などでも書いたように、もはや有機栽培や無農薬栽培でない農産物や、農薬が残留しやすい食材を避けることは不可欠になってきています。
また、近年では遺伝子組み換え農産物そのものに農薬成分が含まれている場合もあるため、できる限り遺伝子組み換え農産物も摂取しないほうがいいようです。
最近知ったのですが、茶葉は放射能汚染されやすいだけでなく、日本では残留農薬基準値も緩く設定されているため、購入する場合には無農薬栽培か有機栽培のものを選んだほうが良い気がしています。
農林水産省や厚生労働省の官僚、農薬販売企業は、農薬に対して「人への毒性は弱いから安全」「年々より安全なものが開発されている」と豪語します。
しかしながら、
農薬は巨額の利益が動く業界だ。多くの国で農薬メーカーは、その巨大な資金力から政治に大きな影響力を持っている。アメリカでは農薬業界が政治家や官僚、科学者や大学、マスコミなどを押さえるために、毎年何千万ドルもの札束が舞う。(p54)
というような状況が日本でも起こっていると思います。
ありとあらゆる利権がある日本列島において、農薬だけが例外ということは考えにくく、特に巨大利権のある業界が述べる「安全」という言葉は、歴史的にも信頼不可能です。原発や薬もそうですが、、、
利権がないためなのか、タバコに対する規制はどんどん進む反面、似たような成分をもつ農薬に対する規制は全くせず、逆に農薬の残留基準値を食物によっては2000倍に緩和するなど、どこまでも庶民を虐げる日本政府。
「国が検査してるんだから安全でしょ」と、自分が住む国やそこにある政府を信用したい気持ちは分かります。
が、現実を直視して行動しなければ、永遠に子どもたちが犠牲になり続けてしまうことに、より多くの人が気付いてほしいです。