引き続き、『日本が売られる』(堤 未果、2018)から引用します。
の続きです。
1990年代後半から、すでにネオニコチノイド系農薬によるミツバチの生態系への異変が指摘され始めていました。
ヨーロッパではミツバチの減少や大量死が相次ぎ、アメリカ、カナダ、日本や中国では、ハチたちが巣から急に消える「蜂群崩壊症候群」が次々に報告され始める。(p54)
2006年に養蜂場で7割のミツバチが突然消えたフロリダ州を筆頭に、全米で次々にミツバチが消滅、2007年には、北半球に住むハチの4分の1が姿を消してしまう。(p54)
ヨーロッパでは2008年に全ミツバチの3割が、ドイツに至っては8割が消滅した。(p54)
蜂蜜を作るだけではなく、花粉を運び植物を受粉させるミツバチがいなくなることは、人間の食糧生産の終わりとイコールだ。(p54)
危機感を持った各国の研究機関は、慌てて原因を調査し始めた。タバコのニコチンに似た神経毒を持つネオニコチノイドは、虫の神経を狂わせる。そのため方向感覚がおかしくなって、巣に戻れなくなってしまうのではないか。欧州の科学者たちはそう結論づけた。(p54,55)
その後、米国農務省では、
「ネオニコチノイド系の農薬でミツバチが病気になる」という実験結果を出した。だがこの事実は、農薬業界に忖度した政府とマスコミによって、何年も隠蔽されている。(p55)
おそらくアメリカと同じことが日本でも行われているため、農薬への規制は一向に進まないのでしょう。
農薬業界や農水省官僚、厚生省官僚は、「ミツバチの消滅と農薬の因果関係は認められない」と口を揃えて言い続け、昨今ではネオニコチノイド系農薬「クロチアニジン」の残留農薬基準値を2000倍に緩和するなどの非人道的行為を行っています。
そんな中、2012年金沢大学理工研究域自然システム学系の山田敏郎教授が、ミツバチが大量死する「蜂群崩壊症候群」と呼ばれる現象にネオニコチノイド農薬が深く関わっている との論文を発表しました。
山田教授はもはや農薬ではなく農毒だとして、
この実験データを示し、ネオニコチノイドの削減を呼びかけた。2010年には日本農業新聞が、北海道など全国22カ所でのミツバチ死滅被害報告を発表、ハチの死骸の92%から、ネオニコチノイド農薬が検出されている。(p59)
しかしながら、
自国の科学者がどんな証拠を出そうと、海外マスコミがどう騒ごうと、アメリカ政府は頑として、農薬メーカーの側に立つ。(p55)
と同じことが日本でも起こり続けています、、、
米国内で登録された農薬の3分の2は、人体への影響データが不十分にもかかわらず、政府が販売許可を与えたものなのだ。(p55、56)
上記と同じような流れで、日本でも多種類の農薬販売が許可され、それに従って残留農薬基準値も大幅に緩和されている現実があります、、、
そして、アメリカよりも大量の農薬散布が行われているのです。
ネオニコチノイド系農薬の危険性は、日本以外の国の政府には認識されているのか、フランス、ドイツ、イタリア、ブラジル、カナダ、台湾では何らかの規制がかけられています。
あの中国でさえ、農薬の規制強化を推し進めているくらいです。
が、日本では逆行する形で、どんどん農薬使用量および農薬使用種類が増えています。
1980年代に有機リン系の農薬が使用され始めて、他国ではADHD(注意欠陥・多動性障害)との関係が問題になって禁止されたそうですが、日本ではいまだに使用続行中、、、
こんな状況だと、タバコのニコチンに似た神経毒をもつネオニコチノイド系農薬も、グリホサート除草剤とともに使用が継続され、『日本が売られる』p57掲載の図のように、今後も発達障がい者が増える可能性が高いと思います。
2016年7月。日本政府はドローンによる農薬の空中散布を解禁した。その後、散布可能な農薬の種類を一気に271種に拡大し、いつの間にか日本人の主食である稲にまで、ネオニコチノイド農薬がドローンで散布されている。(p65)
その数年前に群馬県のある町では、ネオニコチノイド系農薬を空中散布した後、小中学生が頭痛や体調不良で病院に運びこまれる事件があったそうです。
当時は無人ヘリによる空中散布だったそうですが、今後ドローンによる農薬散布の増加により、子どもたちが似たような健康被害に遭わないか心配でなりません。