ぺんぎんメモ

『日本が売られる』②民営化後に再公営化するには莫大な費用がかかる

time 2020/04/28

『日本が売られる』今だけカネだけ自分だけが民営化の正体①で、水道民営化した国に起きたことを簡単にご紹介しましたが、残念ながら続きがあります。

2000年から2015年の間に世界37ヵ国235都市が、一度民営化した水道事業を再び公営に戻していますが、契約を途中で打ち切られた企業側は、予定していた利益が得られなくなると黙っていませんでした。

1998年に水道を民営化したジョージア州アトランタ市が、〈水道管から泥水が噴出する〉〈蛇口から茶色い水が出てくる〉などの苦情が多発したため、5年後の2003年に再び市営に戻すことを決定し、痛い目に遭っている。企業に売った水道事業の株式を全部買い戻すためにかかった莫大な費用が、全て税金として市民の肩にのしかかったのだ。

同じく再公営化を申し出たインディアナ州は、ヴェオリア社と結んだ契約期間がまだ10年間残っていたため、2900万ドル(約29億円)の違約金を支払わされている。

ボリビアのコチャバンバ市が40年の契約期間を途中解除した際、米ベクテル社に支払った金額は2500万ドル(約25億円)だ。結局、公共水道民間委託のツケを最初から最後まで払わされたのは、ボリビアの納税者だった。

国内18の水道事業を民営化し、その後バクテリア検出や供給不備などのトラブルで半数を国営に戻したアルゼンチン政府は、再国営化の際、契約していた9企業のうち6社から提訴された。この手の裁判は「企業利益に損害を与えたかどうか」が判断基準になるため、政府側は圧倒的に不利になる。裁判は全てアルゼンチン政府が敗訴、賠償額は6社のうち米資本のアジュリ1社だけで、1億6500万ドル(約165億円)だった。(p22,23)

このように再公営化しようとすると、企業側は莫大な違約金を請求してきたり、得られるはずの利益を侵害したとして訴えてきたりします。しかもそれらの負担は全て納税者にのしかかるのです…

だが、そこまで巨額の賠償金を支払ってでも水道を公営に戻したいという国は後を絶たず、1990年代から本格化した水の民営化は、その後2005年頃をピークに減り始める。(p24)

ちなみに、各国が水道事業を公営に戻した主な理由は以下の通りです。

  1. 水道料金高騰
  2. 財政の透明性欠如
  3. 公営が民間企業を監督する難しさ
  4. 劣悪な運営
  5. 過度な人員削減によるサービス低下(p21)

つまり水道の民営化にはこうした事態発生が想定できるわけですが、

世界の流れと逆行し、今になって水道民営化を高らかに叫び出した国が、ここ日本だった。

本来国民の命に関わる水道は、憲法第25条の適用で国が責任を取る分野だが、残念ながら我が国の政府にその気はなかった。代わりに打ち出されたのは、世銀や多国間開発銀行、投資家たちが推進する手法、日本の水道を企業に売り渡す「民営化」だ。(p24)

日本政府が、市場原理に任せてはならない生活基盤(生きていくために不可欠な分野)を税金で守る気があったら、水道事業を外資系企業に委託するようなことはなかったはずです。が、もはや日本政府は多国籍大企業やアメリカの言いなりなので、今だけカネだけ自分だけの無責任政策しか遂行しません。

実は日本の水道は、全国に「民営化」「規制緩和」というキーワードを流行らせた小泉政権下で、当時経済産業大臣だった竹中平蔵氏の主導により、すでに業務の大半を民間に委託できるよう法律が変えられている。(p24,25)

その後、政府は外資系企業が日本の水道を買いやすくするための法改正を行い、自治体が水道を所有したまま、自然災害時に水道管が破損した場合の修理費用は自治体と企業で折半し、利益は企業のものになるようにしてしまいました。そして、

仏ヴェオリア社の日本法人が、松山市の浄水場運営権を手に入れたのだ。契約期間5年、ついた値札は12億9654万円だった、民営化推進派はこの契約を、いつものフレーズで礼賛した。〈公共サービスを民間企業に任せることで、無駄がなくなり水道料金は下がり、サービスの質は上がるだろう〉

だがここに、見落としてはならない事実が一つある。複数の電力会社が一つの送電網を共有して電気を流す電力と違い、1本の水道管がつなぐ水道は、1地域につき1社独占になる。つまり水道というインフラには、利用者をひきつけるためにサービスの質や価格の安さで勝負しなければと民間企業に思わせるための〈競争〉が存在しないのだ。(p26)

そうなると、前述したような水道料金の高騰、劣悪な運営、過度な人員削減によるサービス低下などの事態が起こり得るわけです。

しかも、2013年には麻生太郎副総理が戦略国際問題研究所の席で、「日本の水道を全て民営化する」旨を発言した挙句、公共事業に外資系企業が一気に参入できる仕掛けを埋め込んだ経済連携協定(日欧EPA)をEUと結んでしまいました。

竹中平蔵氏や麻生太郎副総理の主導で法改正がどんどん勧められ、その間マスコミは行儀よく沈黙していた。(p29)

       




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奨学金完済をめざしながら、旅、食、リタイア、(海外)移住、晴耕雨読生活を追い求めてふらふら生きています。

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