例のウイルスにより自宅待機状態なので、積みっぱなしにしていた本を少しずつ読んでいます。
が、最近読み終わった『日本が売られる』(堤未果,2018)がとてつもなく精神的ダメージを受ける内容だったので、ちょっと気が滅入っています、、、
とはいえ、日本に住み続ける予定がある人は読んでおいたほうがいい内容だと思いました、、、にわかには信じ難い内容かもしれませんが。
現日本では、庶民生活に大きく関わる重要情報であっても、スポンサー(外国資本を含む大企業)、政府、既得権益層(富裕層)に都合の悪い情報は報道できない構造なので、信用できる情報源(一部の海外メディアや書物など)から能動的・主体的に情報を掴むことが不可欠になっています。
特に食に関しては、日本の基準が諸外国に比べて大幅にゆるいので、他国から入ってくるものは概ね危険性が高いと認識していたほうが良さそうです(例えば、中国やアメリカ、放射能汚染された国々からの輸入品)。
もちろん、国産品のほうが危険な場合もありますが、、、
今回読んだ『日本が売られる』のまえがきで、イラク戦争時に現地兵士だったジェラルド・ブレイザー氏の言葉が印象的でした。
アメリカでは保育も介護も学校も病院も、今じゃまともに暮らすためのものが全部贅沢品になっているから。売国政府が俺たち国民の生活に値札をつけて、ウォール街と企業に売りまくっているからね(p5)
先の世界大戦後から現在に至るまで、アメリカの属国と化している日本では、アメリカの後を追うかのように、庶民の生活基盤である水道、農地、種子、教育、福祉、医療、土地などを、政府が安定供給する責任を放棄し、規制緩和して市場原理に任せる流れが加速しています。
多国籍企業群は民間商品だけでなく公共財産にも触手を伸ばし、土地や水道、空港に鉄道、森林や学校、病院、刑務所、福祉施設に老人ホームなどがオークションにかけられ、最高値で落札した企業の手に落ちるようになった。
企業は税金を使いながら利益を吸い上げ、トラブルがあったら、責任は自治体に負わせて速やかに国外に撤退する。水源の枯渇や土壌汚染、ハゲ山や住民の健康被害や教育難民、技術の流出や労働者の賃金低下など、本来企業が支払うべき〈社会的コスト〉の請求書は、納税者に押しつけられるのだ。(p5,6)
日本政府が規制緩和して民営化を促した結果、財政難から生活基盤であるインフラを市場原理に任せる自治体が相次いでいます。
今後、諸外国でも起こったような、民営化前は低価格だった使用料金が、民営化後に値上げされる事態、が起こってくるのではないかと心配です。
ここで、水道民営化して酷い目に遭った国々を『日本が売られる』から抜粋しておきます。
民営化後の水道料金は、ボリビアが2年で35%、南アフリカが4年で140%、オーストラリアが4年で200%、フランスは24年で265%、イギリスは25年で300%上昇している。
高騰した水道料金が払えずに、南アフリカでは1000万人が、イギリスでは数百万人が水道を止められ、フィリピンでは水企業群(仏スエズ社、米ベクテル社、英ユナイテッド・ユーティリティーズ社、三菱商事)によって、水道代が払えない人に市民が水を分けることも禁じられた。(p17)
ボリビアで水道事業の運営を委託された米ベクテル社は、水道料金を払えない住民が井戸を掘ると井戸使用料を請求したり、公園にある水飲み場の蛇口使用を禁止したり、バケツに雨水を溜めれば一杯ごとに数セント徴収したり、、、など信じられないことをやってのけています。
多国間開発銀行は財源不足の水道を抱える国に対し、まず公共水道事業の一部を民間企業に委託させ、それから水道の所有権や運営権を企業に売却できるよう法改正させる。
その際、国民が疑問を持たないよう「民営化こそが解決策だ」という全国キャンペーンを展開させることも忘れない。彼らは水道だけでなく、「医療」「農業」「教育」の民営化を世界各地に広げるべく、尽力し続けている。
世界銀行の評価セクションには、この手法を使われた多くの国が、水の水質や安定供給に対し大きな不満を表明しているというデータが届いていた。だがそうした当事者たちの声が問題になることはなかった。(p19)
これは多国間開発銀行が、投資家を優先する組織であるために起こっているわけですが、日本も他人事とはいえない深刻な状態にあります。
市場原理に任せてはならないことを理解している国では、庶民の生活基盤(生きていくために不可欠な分野)を政府が税金で守っています。
が、今の日本政府は外国資本を含む大企業の言いなりで、それとは真逆のことを行っているだけでなく、庶民の命を減らしにかかっています、、、
これが、「今だけ金だけ自分だけ」の売国政治家・売国官僚・売国学者と、外国資本を含む大企業に蝕まれている日本社会の実態です。