『日本が売られる』⑥このままではバイオメジャーに日本の農地が侵略され、農家が廃業して餓死する国民が続出するかもしれない

の続きです。

引き続き、『日本が売られる』(堤 未果、2018)から引用します。

1996年からアメリカで始まった、遺伝子組み換え種子の商業利用。

現在米国内で作付けされている大豆、綿、トウモロコシの9割以上で遺伝子が組み換えられ、国内流通加工食品の9割に、遺伝子組み換え原材料が使用されている(p42)

そうです(2018年当時)。

2023年4月1日からは日本でも「遺伝子組み換え」表示が無くなってしまい、今後アメリカのようにほとんどの食品に、遺伝子組み換え原材料がふんだんに使われる可能性があります、、、

業界最大手であるアメリカのモンサント社(2018年にドイツのバイエル社が買収)は、自社製品の農薬にのみ耐性を持つように遺伝子を組み換えた種子(F1種子・・・1年しか発芽しない種子)を発明して以降、自社農薬とセットで販売し続けていますが、

これは画期的な発明だった。他の農薬を使うと枯れてしまうため、一度この種子を使った農家は、その後もずっと同社の種子と農薬をセットで買い続けることになるからだ。(p42)

というように、1度使い始めるともう後戻りができなくなる恐ろしい種子です。

セット販売された農薬や除草剤は最初のうちは面白いように効くが、害虫やカビ、雑草などは、数種の農薬を交互に使わず特定の農薬だけを長期使用すると、だんだん耐性ができて効かなくなってくる。仕方なく使用量を増やすと、今度はそれに耐性をつけた強力な雑草が発生し、それを枯らすためにさらに農薬量を増やすという悪循環にはまるのだ。農薬を使いすぎて汚染された土壌では、もはや遺伝子組み換え以外の種子は作付けできなくなってしまう。(p42、43)

というような流れにはまってしまった農地では、遺伝子組み換え種子以外作付けできなくなる危険性があるのです。

そのため、日本ではどうにかこの流れを食い止めたいところですが、、、

おそらく農家が気付いて声をあげる頃には、政府内に業界の人間が多数送り込まれているため、その業界を規制する法律をつくること自体、不可能な気がします。

まずはその国の農地を集約し、輸出用作物の単一栽培を導入させる。企業が農業に参入できるよう法律を緩め、手に入れた農地で大規模農業を展開、価格競争に負けた現地の小規模農家を追い出した後は、米国資本が参入し、実質的に経営を動かしてゆく。(p43)

自国民のために公共の種子を守る「種子法」のような法律があれば、速やかに「廃止」させ、民間企業に開放させる。(p43、44)

その後は、輸出用の遺伝子組み換え種子を植えるための、単一栽培面積を増やしてゆけばいい。種子の特許は全てモンサント社やデュポン社などのバイオ企業が所有しているため、各国の生産者たちが気付いた時には、同社の種子と農薬のセット購入と、特許使用料を支払う無限ループに組み込まれている。(p44)

でも書いたように、このままでは上記の流れによって、日本の農家、日本の農業は破壊されてしまいます、、、

なぜなら上記のような手法で、すでに

アメリカ政府は、インド、イラク、アルゼンチン、メキシコ、ブラジル、オーストラリアなど、多くの国々の農業を次々に手に入れていった(p44)

現実があるからです。

イラク戦争のもう一つの目的がアグリビジネスだったという事実は、ほとんど知られていない。(p44)

米英による爆撃後のイラクでは、アメリカの企業が新しく遺伝子組み換え種子と農薬、農機具を提供し、イラク農民はモンサント社などの種子企業と結ばされるライセンス契約と引き換えに、食の主権を奪われたのだった。(p44)

自然災害に見舞われた途上国には、「復興支援」の名の下に遺伝子組み換え種子と農薬のセットを無償で提供する。(p44)

「復興支援」とは名ばかりの、農地と食の支配には恐怖しかありません。「タダより怖いものはない」を地でいく世界です、、、

アメリカがやっている「復興支援」からの「農地侵略」は、現在、中国がアフリカや東南アジアでやっている「対外援助・対外支援」からの「侵略」と似ています。

今後、日本が同じ道を辿らないためには、廃止されてしまった種子法の復活、農業競争力強化支援法の廃止、種苗法の改善を、首相官邸へ求め続けると同時に、国会議員へ働きかけていくしかありません。

日本列島では私が知っているだけで、江戸時代、明治時代、大正時代、昭和時代と、餓死者が続出してきた歴史があります。それぞれ主原因は異なりますが、それが事実としてあるのです。

今や世界一飽食となった日本において、21世紀となって20年以上が経った令和時代において、まさか再び餓死者が続出する可能性があるとは、多くの人が予想できないかもしれません。

しかしながら、次回紹介するアルゼンチンでは、グローバル企業を隠れ蓑にしたアメリカ政府の手法によって、実際に国内の畑が遺伝子組み換え大豆一色となってしまい、経済不況時に飢餓で死ぬ国民が続出してしまったそうです、、、

グローバル企業主導による政府の暴走を止めるには、1人でも多くの国民がその現実に気付き、声をあげていくしかありません

でも書いたように、人間が生きるために不可欠な水と食は、何としてでも守らなければならないと思います。