『日本が売られる』㉕外国人による国民皆保険制度の悪用も問題だが、制度の不備もある

引き続き、『日本が売られる』(堤 未果、2018)から引用します。

〈保険証一枚あれば、いつでもどこでも誰でも、その日のうちに質の良い治療が受けられる。医療破産など起きないよう、治療費が一定額以上になれば、全て国が払い戻してくれる〉

日本には、世界中が羨む「国民皆保険制度」がある。(p193)

だがグローバル化で昔より国家間の移動が楽になった上、日本政府がじゃんじゃん外国人を入れる中、私たちのこの制度が見えない危機にさらされていることに、どれほどの国民が気づいているだろう?(p193、4)

に書いた以外にも、国民皆保険制度は、今後更なる危機にさらされる可能性が高いと思います。

第一に、医療目的を隠して来日し、国民健康保険に加入して高額の治療を受けにくる外国人が急増しているのだ。(p194)

政府は、外国人が日本の公的保険制度を使う条件をどんどん緩めている。

2012年。民主党政権はそれまで1年だった国保の加入条件を大幅に緩め、たった3ヶ月間滞在すれば外国人でも国保に加入できるよう、法律を変えてしまった。

その結果、留学生や会社経営者として入国すれば国籍に関係なくすぐに保険証がもらえるからと来日したその日に高額治療を受けに病院に行くケースが増え、深刻な問題を引き起こしている。(p194)

また、上記以外でも、2011年から訪日外国人への「医療滞在ビザ」の発給が始まったことで、「医療ツーリズム」と呼ばれるような医療目的で来日する外国人も増えているようです(2016年の医療滞在ビザ取得者の約9割は中国人 日本における医療滞在ビザ発給件数 経済産業省 )。

ただ、医療滞在ビザの場合、医療費は10割支払う必要があるため、健康保険に加入している居住者と比べると、高額な支払いが発生します。

そのため、中には、健康保険に加入している日本在住の子どもの扶養に入り、高額治療を受けに来日する外国人も存在するようで、日本の公的保険制度が悪用されているとの声も上がっています。

特に中国人患者が多いC型肝炎薬などは、3ヵ月1クールで455万円が国保を使えば月額2万円だ。高額すぎて問題になった肺がん治療薬オプジーボなら、1クール1500万円が自己負担額月60万円、残りは私たち日本人の税金で支えてゆくことになる。

在日外国人の多い地域では治療費を払わず姿を消す患者も後を絶たず、逃げられた医療機関には回収するすべがない。(p194)

本当に留学生なのかを見分けることが難しい上に、実体のないペーパーカンパニーでビザを取る斡旋業者が横行しているため、保険証を持参してくる自称会社経営者の場合でも、偽物の摘発は非常に困難だという。(p194、5)

上記事実は存在しないと主張する団体もあるようですが、少なくとも、治療費を支払わない訪日外国人患者や在留外国人患者は存在し、未収金が生じた医療機関に回収する方法がないことは事実です(医療機関における外国人患者の 受入に係る実態調査 結果報告書 厚生労働省 )。

2021年5月10日からは、医療費不払い経歴のある訪日外国人への入国審査が厳格化されたようなので、医療機関の負担が増える懸念はあるものの、政府としては少しずつ対策を取っているようです。

ただ、移民50万人計画が進むと、制度の不備がさらに浮き彫りになる可能性が高いため、他にも対策を取る必要があると思います。

出生証明書さえあればもらえる42万円の出産一時金も中国人を中心に申請が急増しているが、提出書類が本物かどうかも役所窓口では確認しようがないのだ。最近ようやくマスコミがこの問題を取り上げ始めたが、今のところ政府の対処は全く追いついていない。(p195)

出産一時金の乱用は、2016年に東京都荒川区で問題となっていました。

こうしたことを踏まえると、現状の「3ヶ月間滞在すれば外国人でも国保に加入できる条件」を、元の1年へ戻すか、もしくは前述したように別の対策を考える必要があると思います。

日本が大量に移民を受け入れることは、今まで以上に「性善説」ではやっていけなくなることを表しており、法律できちんと規制することが不可欠です。それが、既存の日本人の権利を侵害するものにならないように政府を監視しながら、、、

安倍政権が2018年6月に発表した「移民50万人計画」で、今後留学生でも経営者でもない外国人労働者がどっと入ってくる。彼らの受け入れ先は、農業やメイドサービス、飲食や旅館、介護業界、アニメーターなど、大半が低賃金の単純労働分野だ。

政府はこれらの外国人労働者が入って来やすいように、滞在期間の延長や、家族を呼び寄せること、一定期間滞在すれば永住権まで与えるなど、至れり尽くせりの環境を用意した。

これで日本の人手不足は外国人労働者が、少子化問題は外国人の子供たちが埋めてくれることになるという。多様性が生まれ、経済は活性化し、税収も問題なく上がるだろうと。

だが、本当にそうだろうか?(p195)

日本政府は移民政策を推し進めていますが、経済優先の日本政府のことですから、おそらく将来的に日本国民が不利益を被る方向へと繋がっていく可能性が高いと思います。

今は安く使い捨てることができたとしても、猛スピードで進化するAIによって、今後単純労働者の需要は否応なしに減ってゆく。

その時、今横行する医療のタダ乗りに加え、大量に失職する低賃金の外国人労働者とその家族を、日本の生活保護と国民皆保険制度が支えなければならなくなる現実(p195)

を考えると、現状の日本社会では圧倒的に力不足です。

第一、現状数多く受け入れている在留外国人の母国(2020年6月末現在における在留外国人数について 法務省 出入国在留管理庁 )において賃金が上昇し、日本の平均賃金を大きく上回った場合、外国人労働者はもはや日本の労働環境には留まらないでしょう。

日本政府は、2000年以降の規制緩和で不安定な雇用形態を激増させ、外国資本を含む大企業以外は切り捨てる政策を取り続けています。結果、20年以上、世帯所得はほとんど増えていません(世帯所得(実質)の推移 厚生労働省 )。

その上で移民政策を進めることは、本来であれば労働者が集まらない労働環境の賃金を税金で補うべきところを、さらに安い労働力で補っているため、今後も低賃金・重労働の労働環境は変わらない可能性が高くなります。

加えて、現状でさえ技能実習生を含む外国人労働者を、低賃金・重労働で酷使して問題となっている日本企業が存在するのに、これ以上外国人労働者を受け入れれば、加害者となる日本企業を増やすことになりかねません。

日本政府の外交姿勢にあるように、そこには強者(アメリカ・中国)に巻かれ、弱者(日本国民、アジア諸国)を虐げる姿があるように見えます。

働き方改革や労基署民営化など、労働者を安く使える法改正と移民50万人計画のセットは、日本人も外国人も関係なく、彼らを安い労働力という名の「商品」にする。(p196)

ため、このままでは日本人も外国人も労働者である限り、不利益を被る可能性が高い気がします、、、

移民は、四半期利益のために使い捨てる商品ではない。名前があり家族があり、子供を育て、将来の夢を描き、病気にもなり、社会の中で老いてゆく、私たちと同じ、100年単位で受け止めなければならない存在だ。

だからこそどんどん入れる前に、彼らをモノではなく人間としてどう受け入れてゆくのかを慎重に議論し、シュミレーションし、環境を整備するのが先だろう。

そうでなければ、自国民と移民とが憎み合い、暴力がエスカレートし、社会の基盤が崩れかけている欧州の二の舞になってしまう。(p196)

給料が下がり続ける今の日本で、労働者を社会につなぎとめておく最後の歯止めである国民皆保険制度というインフラは、安易な移民50万人計画を進めることで、雪崩のように崩壊させて良いものでは、決してない。(p196)

国民の大半が、国民負担率の上昇により手取りが減り続けて生活が苦しい状況にある場合、政府としてはまずそれを改善する政策をとるのが筋です。

しかしながら、今、与党の国会議員が国会を開いて審議している内容は、憲法審査会を開いて国民の権利や自由を侵害する憲法改悪論議、、、

日本政府は、一部の人間だけが得をするような独裁国家を作り上げたいのか不明ですが、改めて、「自分や家族の身は自分で守るしかない」という気持ちになり、能動的・主体的に生きる姿勢の大切さを感じています。

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