『沈みゆく大国 アメリカ』(堤未果、2014)で日本への警鐘が鳴らされていた分野に、
ほかにも国家戦略特区法とGPIFがありました。
まず、国家戦略特区法。
この法律は、八〇年代以降すさまじい勢いで国家解体中のアメリカと同じ道をたどる内容にもかかわらず、法律が成立したこともその内容も、いまだに多くの国民に知らされていない。(p193)
改正されたようですが、この法律がつくられて今年でちょうど10年がたち、
ようやく、最近強行されている政策がその法律によるものだったのか、と合点がいきました、、、
「国家解体」という言葉がふさわしいほど、ここ数年、政府や各自治体の首長が、
国民や住民の声を無視して強行する政策が目立ってきています。
内閣府HPに載っている国家戦略特区についての説明では、
国家戦略特区制度は、成長戦略の実現に必要な、大胆な規制・制度改革を実行し、「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を創出することを目的に創設されました。
経済社会情勢の変化の中で、自治体や事業者が創意工夫を生かした取組を行う上で障害となってきているにもかかわらず、長年にわたり改革ができていない「岩盤規制」について、規制の特例措置の整備や関連する諸制度の改革等を、総合的かつ集中的に実施するものです。出典:https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/kokkasenryakutoc.html
となっていて、スーパーシティなどもここに含まれていることを初めて知りました。
ここに書かれている、日本政府が掲げる「世界で一番ビジネスがしやすい環境」とは、
アメリカを主とするグローバル企業が独占支配できるような規制緩和を、国家戦略特区で行い、
外資系グローバル企業が独占支配することで、地元の中小企業や個人事業主をつぶし、
地元労働者を低賃金でこき使い、地元にほとんどお金が落ちない仕組みを確立するだけでは…
現在、国家戦略特区として指定されている区域は、以下のとおり。
- 大規模農業改革拠点として、新潟市
- 国際ビジネス拠点として、東京都、神奈川県、成田市
- 中山間地農業改革拠点として、養父市(兵庫県)
- 医療革新拠点として、大阪府、京都府、兵庫県
- 雇用改革拠点として、福岡市
- 国際観光拠点として、沖縄県
- 「農林・医療の交流」の改革拠点として、仙北市(秋田県)
- 女性活躍・社会企業のための改革拠点として、仙台市
- 「産業の担い手育成」のための教育・雇用・農業等の総合改革拠点として、愛知県
- 観光・教育・創業など国際交流・ビッグデータ活用特区として、広島県、今治市
- 創業のための雇用改革拠点として、福岡市、北九州市
- 国際ビジネス拠点として、千葉市
出典:https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/shiteikuiki.html
また、
スーパーシティ型国家戦略特区指定として、
- つくば市
- 大阪市
出典:https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/shiteikuiki.html
がプラスされ、
デジタル田園健康特区指定として、
- 加賀市(石川県)
- 茅野市(長野県)
- 吉備中央町(岡山県)
出典:https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/shiteikuiki.html
もプラスされています。
各指定区域では、規制改革メニュー?を活用した認定事業が行われているようですが、、、
認定事業をみると、住民の意見に反して各自治体の首長が強行している不可解な政策は、
それに沿ったものだったのか、、、と合点がいきます。
2000年以降、怒濤のように行われた規制改革や消費税増税で起きた、
外資系を含むグローバル企業のみが利益拡大する現象や、
大勢の労働者を非正規雇用化して貧困層を増やす現象をみていると、
政府が推進する規制改革にはマイナスイメージしかなく、、、
アメリカと同じようなグローバル企業天国にして、国民生活を破壊する政策としか思えないのです。
世界で規制・禁止されているゲノム編集食品を生み出しているのも、国家戦略特区に多く、
個人的に、指定区域で行われていることには、違和感を覚えることが多いです。
長くなるので、GPIFについてはまた明日書きます。