インドでは、カルチャーショックというような数多くの衝撃を受けました。
まず、インドにはチップ文化があるため、習慣化されていない日本人にとっては相当のストレスを感じます。
また、街中に、馬や牛、犬、おおかみ、ヤギなど動物が放し飼いとなっているため、日本人から見ると衛生面が心配になります。が、現地の人にそうした概念はあまりないようです。
そして、最も衝撃的だったことは、ガンジス川とタージマハルで目にしました。
まず、ガンジス川ですが、ガンジス川の沐浴ができるベナレスという街は、インドでも1、2を争う危険な場所だとガイドさんから言われていました。つまり、インドで最も貧しい地域の1つということです。
ただ、川といっても日本人の感覚からすれば、全く流れがないので底の見えない湖のようなものであり、私にとってその地域が理解しがたい社会環境であったために、それまで持っていた概念では捉えきれない存在でした。
朝4時半にもかかわらず、ガンジス川は、祈りを捧げる人で大混雑していました。
その佇まいや必死な表情からは、いかにカースト制が根強く残っているか、いかに生活が苦しいか、その境遇から脱出するためには祈るしかないか、の現実を目の当たりにしました、、、
いまだにカースト制は根強く、生まれてから亡くなるまで、決められた身分・決められた仕事・決められた場所・決められた相手としか生きられない、と聞いた事があります。
最近はIT産業の発達により、一昔前よりも暗い側面は減っているようですが、いまだに人身売買が多発していることや、女性蔑視の強い面を見ると、人々の生活における良い方向への変化は、まだまだ足りないような感じがしました。
ガンジス川周辺は危険なため、案内を現地ガイドにお願いしましたが、下位カーストの人々とは目も合わせないどころか、あたかも存在していないような振る舞いだったのも衝撃的でした。
発展途上といわれる国の大半では、観光ガイドの社会的地位は高いと見えますが、インドでは特にそれが顕著でした。
ガンジス川では、食事の支度をする人、洗濯をする人、水浴びをする人、用を足す人、御遺体を流す人、焼いた御遺体の灰を流す人など、生活の全てが行われていることにも衝撃を受けました。
そうしたカルチャーショックのために、有名なガンジス川で美しい日の出を見ているにもかかわらず、気分はかなり重くなりました。
ガンジス川にいるだけなのに、インド社会の現実が見えたような気がしたからです。
そんな重い気持ちを抱えつつも、観光は進んでいきます。
お次は、アグラという街にある、世界遺産のタージマハルです。大理石で作られた建物全体が、強く輝いていました。
しかし、インドに住む庶民の生活とは不釣り合いな建物、とも感じてしまい、想像していたよりも美しく感じられませんでした。
インドへ行った日本人には、インドを大好きになる人と大嫌いになる人に分かれるといいます。
私はそのどちらでもありませんでしたが、日本での価値観をリセットするのに有効な場所だと感じたので、日本食とミネラルウォーターを持参し、いつかまた機会があれば再訪してみたいと思っています。