引き続き、『日本が売られる』(堤 未果、2018)の内容についてご紹介したいと思います。
「この国では、なぜこんなに食物アレルギーで死ぬ子が多いんでしょう?
ここアメリカでは子供の12人に1人が何らかの食べ物にアレルギーがあり、3人に1人が肥満児で、6人に1人が学習障害、20人に1人が発作性の疾患を抱え、68人に1人が自閉症。ちょっと異常だと思いませんか?」(p268)
と述べるのは、全米各地の母親たちによる遺伝子組み換え食品を拒否する運動「マムズ・アクロス・アメリカ(Moms Across America)」の創設者である、ゼン・ハニーカット氏。
ゼン氏自身はアレルギーなど全くない健康体だったが、彼女の息子たちは様々な症状に苦しんでいた(p269)
感謝祭の食事の最中にピーカンナッツを食べた長男は、発作を起こして危うく死にかけ、次男は自閉症だ。(p270)
〈アレルギーの遺伝はないはずなのに、一体なんで息子たちはこうなったのだろう?〉(p270)
たとえ上記のような境遇に置かれていたとしても、その原因が残留農薬や遺伝子組み換え食品だと突き止められる人は多くない気がします。
特に日本では、農薬や除草剤を販売している企業、農薬と遺伝子組み換え種子をセット販売している企業、企業から研究費をもらっている大学、天下り先を提供してもらっている農林水産省や厚生労働省の官僚は、農薬や遺伝子組み換え食品に関してマイナスなことは絶対に言わないからです。
それはアメリカでも同様で、企業と学者に不適切な関係があったり、公文書化された嘘や隠蔽がまかり通っていたり、
行政に農薬メーカーや遺伝子組み換えの種子企業の人間が入り込んで(p274)
いたりなど、歪んだ構造が見られるようです。
ゼン氏が調べた結果、
アメリカの食品の80%、加工食品の85%に遺伝子組み換え原料が含まれていると知った。
「遺伝子組み換えについては全くの無知でした。種類も3つあるんですね。作物そのものに殺虫成分が組み込まれているもの、除草剤をかけても枯れないもの、都合の良い特徴を出させるために特定の遺伝子をオンやオフにしたもの。スーパーで買う遺伝子組み換え作物の8割が2つ目の除草剤耐性なので、そこで使われる農薬についても調べました」(p270)
ゼン氏が調べた除草剤「グリホサート」は、小麦の収穫時や抗菌剤などによく使われるもので、
EPA(米国環境保護庁)のデータでは、腸内の善玉菌を殺し、食べたものの栄養を体に取り込めなくすると書いてある。動物実験では発がん性も指摘されている(p270)
代物でした、、、
日本ではネオニコチノイド系の農薬が問題になっていますが、知られていないだけで実は除草剤グリホサートによる問題もかなりありそうです。
日本人の主食であるお米も、以前は玄米として食べなければ残留農薬はほとんどないと言われてきましたが、数十年間も農薬や除草剤を大量に使い続けているためか、最近では米アレルギーも増えてきました。
また、もともと農薬や除草剤が残留しやすい野菜や果物では(輸入割合が高いものや皮をむかないで食べるもの)、特にアレルギーも起こりやすく危険性も高い気がしています。
それが輸入品となるとさらに危険性が上がり、特に小麦や大豆、とうもろこし(飼料)、ナッツ類の輸入割合が高いため、摂取し続けるとアレルギー反応が出てもおかしくないのかなと思います。
また、よくある乳製品や卵、甲殻類によるアレルギーも、ほとんどが養殖で生み出されたものであるため、与えているエサが化学物質(抗生物質や合成ビタミン等々)まみれであることも多く、アレルギー反応が出る可能性を否定できません。
そんな感じなので、食物によるアレルギー人口が急増しているのはアメリカやヨーロッパでだけでなく、
日本でも2005年には3人に1人だったアレルギー人口が、2011年には2人に1人に増えている(p269)
現実があります。
もちろんアレルギー反応を起こす原因は、食物だけでなくストレスやその他諸々あると思います、、、
ただ、ゼン氏の子どもたちの場合は、遺伝子組み換え食品をやめ、農薬を極力使わないオーガニック食材に切り替えたところ、長男のアレルギー症状が消えたそうです。
ただ、上記対応後も次男の尿からは高値のグリホサートが検出されたため、グリホサートが残留している可能性が高い小麦製品を次男がよく食べていたことを思い出し、日常生活からグリホサートを徹底的に排除した1か月後、次男のグリホサートは不検出になったといいます。
その後ゼン氏のお子さんと同じような流れで、遺伝子組み換え食品、農薬、除草剤の摂取を止めたことにより、体の不調が改善した人々が世界中に増えています。
日本以外の国では、遺伝子組み換え食品、農薬、除草剤が健康被害を引き起こす危険性のあるものとして、社会的に認識され始め、各国政府が規制する動きとなっているのです。
しかし残念ながら日本では、緩和という逆の方向へ進んでいるため、今後も食物アレルギーやガン、白血病などあらゆる病気が増加する可能性が高そうです。
まぁ今の社会のままだと、そうした病気の増加も放射能汚染による病気の増加と同じように隠蔽され、正確な患者数などは闇へ葬られる可能性が高いと思います。
大企業相手では因果関係の立証さえ難しそうですし、、、
結局、そんな毒まみれの社会でも、あらゆる毒に負けない強靭な心身をもつ人間が生き残っていくのかもしれません。