『日本が売られる』㉙LINEとマイナンバーを連携する政府の危機意識の無さが怖い

今年に入ってから『日本が売られる』を読み返す中で、あまりに悲惨な現実を理解するのに頭と心がついていかず、ちょっと疲れていました、、、

ただ個人的な勉強のためにも、引き続き『日本が売られる』(2018、堤 未果)を引用したいと思います。

国が切り売りされ、あらゆるものに値札がつけられてゆく中で、「個人情報」はマーケティングツールとして最も価値ある商品だ。

2017年11月2日。内閣府と総務省は全日本国民に割り当てられたマイナンバーの個人情報について、新しい方針を発表した。

今後は住民票や生活保護、幼稚園や保育園の申請などが、無料通信アプリ「LINE」を通して、マイナンバーカードをスマホにかざすだけで、行政サービスと連動するマイナポータル(政府が運営するオンラインサービス)を通し、簡単に手続きできるようになる。(p218)

個人的には使ったことがないためよく分からないのですが、現在はマイナポータルで介護保険のオンライン申請や確定申告もできるようです。

とはいえ、

できてから2年以上経つのに、いまだに全国民の1割しか利用していないマイナンバーをなんとかして広げようと、この間ずっと頭を悩ませてきた政府が編み出した苦肉の策(p218)

だったためか、マイナポータルは、マイナンバーカードが読み取りにくい等の圧倒的使いにくさのため、このままだと普及しない可能性が高い印象です。

LINEは、今日本でスマホユーザーの7割、10代女子では9割という驚異的な利用率を誇り、子供を持つ親同士の間でも連絡ツールとして広く使われている。(p218)

日本人の日常の一部となりつつあるLINEと、干上がって草すら生えそうにないマイナンバーを紐づければ、日本国民もきっと次のように歓迎してくれるだろう。(p218、219)

〈これは助かる。LINEにマイナンバーを入れるだけで面倒臭い役所の手続きや税金の支払いができたら、手間が省けて便利じゃないか〉(p219)

しかしながら、繰り返し起こっているようにLINEは情報漏えいが激しいため、重要な情報を扱うには危険性が高いと思います。

また、数年前まで安全と見なしていたTelegram(テレグラム)も、日本では犯罪に悪用される印象が強くなってきています。

そのため、安全性と質の高い国産アプリを開発できない限りは、外国資本のアプリと、マイナンバーなどの個人情報を扱うオンラインシステムの紐づけは、政府として推進してはいけないと思うのです。

第一に、LINEは公的機関ではなく、一介の民間企業だ。

2011年6月の誕生以来、日本を始め、タイや台湾、インドネシアの4ヵ国で約2億1860万人が利用(日本の月間ユーザーは全人口の半分の6800万人にのぼる)、年間500億円の売り上げを出している。

各国の銀行と提携し、現在3800万人が利用する決済機能「LINE Pay」は急速にユーザーを増やしており、LINE Payでの確定申告を可能にした台湾では大きく成長、今後もますます広がってゆくだろう。(p219)

ちなみに、

LINEを開発した技術者は韓国人で、同社の幹部は韓国人と日本人の半々で構成され、親会社は87%の株を所有している韓国企業ネイバー社だ。(p219、220)

だが、まだその上に別の所有者がいる。

韓国は1990年代後半のアジア通貨危機の際、IMFによって国内機関の大半が民営化させられ、ほとんどの国内株式を外資が買い占めているからだ。

LINE親会社のネイバー社は、株式の6割以上を、ブラックロック社やオッペンハイマー・ホールディングス、バンガード・グループなどの欧米巨大グローバル金融企業に所有されている。

つまり、LINEでやりとりする内容や個人情報の扱いを決めるのは、日本政府が直接手を出せない、韓国や外資の民間企業ということになる。(p220)

結果、使用する国における個人情報の扱い方に関するルールによっては、アメリカのように、

「テロ対策への協力」を大義名分に(p220)

グーグルやヤフー、フェイスブック、アップルなどの民間企業に対して、政府が

ユーザーの個人情報やメールの内容、位置情報などの提出を要求することが常態化して(p220)

いる場合もあります。

LINEの親会社がある韓国の場合は、ネット上に流れている情報を無断でハッキングする行為は、法律上は合法(p221)

となっているため、以下のようなことも起こっています。

2013年7月19日。LINEは親会社のネイバー社から、アカウント名やメールアドレスを始め、暗号化されたパスワードなどを含む日本人169万人分の個人情報が、ハッキングにより流出したことを発表した。

2014年5月には、韓国国家情報院がLINEを傍受し、ユーザーの個人情報の保存と分析を行っている事実が、日韓両政府関係者協議の場で明らかになっている。(p221)

そうした事実を知った、

台湾の総統府は「セキュリティ上の懸念がある」としてすぐに公務でのLINE使用を禁止したが、2012年の野田政権下で内閣府がLINEアカウントを開始した日本では、今も内閣府の利用が続けられている。(p220)

新型コロナウイルス関係でも、日本政府はLINEを使用して国民の意識調査をしていましたが、

フェイスブックやインスタグラムやLINEのような民間企業は、サービスを無料で使わせることと引き換えに、ユーザーが提供する個人情報を企業に売ることで利益を出す(p220)

ため、

LINEの場合も、インストールすると同時に、自分の携帯に登録している電話帳が全てLINEに流れるよう初期設定されており、アカウントの乗っ取りや他人のなりすまし事件が後を絶たない状態(p222)

になっています。つまり、

電話番号がわかれば、そのスマホ内の情報は全て読むことができるため流出リスクが常にある(p222)

わけです。

また、

企業が運営している限り、個人情報の扱い方はいつでも自由に変えられる(p222)

ため、LINEがプライバシーポリシーを改定して、それに同意すると、ユーザーが自分で設定を変更しない限り、LINE上で行った全ての情報が自動的にLINEの会社に流れてしまうことになります。

フェイスブックやインスタグラム、LINEなどの民間企業のアプリを使う際、一番重要なことの一つが、この「プライバシー設定」の更新を頻繁にチェックすることだが、ユーザーの年代も幅広いため、残念ながら全員が危機意識を持つことは難しい。(p222)

企業が利益を求めるのは当然なので、サービスを使っているこちら側が、自分の身は自分で守るしかないのだ。(p223)

そんな状況にもかかわらず、日本政府はLINEと

住民票や医療情報、生活保護や税金や、銀行口座の情報(p223)

などの紐づけを進めています。

これまでにも書いたように、資源のない日本列島の重要な資産を売り渡している政府ゆえ、仕方ないといえばそれまでですが、、、国民の重要情報まで筒抜けにさせてはいけないと思います。

でも書いたように、日本人は村落共同体時代の相互監視社会に慣れてしまっているせいか、プライバシーという概念自体に馴染みがなく、情報流出による危機意識も薄いため、そんな姿勢は望めないのかもしれません。

近年日本では、日本年金機構のシステムサーバーから年金の個人情報、東京商工会議所の会員情報、JALの顧客情報、ベネッセの顧客名簿、三菱UFJ証券の顧客情報の他、その他年間数十件以上、個人情報漏えい事件が起きています。

最近では個人情報だけでなく、三菱電機やNTTコミュニケーションズへのサイバー攻撃により、防衛省の安全保障情報の流出が、また、富士通の情報共有ツールへの不正アクセスにより、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)や国土交通省、外務省、総務省など中央省庁の内部情報漏えいが起こっています。

そんな個人情報や内部情報が漏えいし続けている社会で、危機意識のない日本政府に個人情報管理を任せることは、個人情報流出による犯罪を誘発し、国民の重要情報を流出する可能性を高めるだけです、、、

知らないうちに他国に流れた個人情報を元に、詐欺電話に遭ったり、

偽の銀行口座を開かれたりパスポートを偽造されたり(p225)

する可能性もありますが、例えその被害者(もしくは犯罪者)になったとしても、日本政府が助けてくれる可能性は低く、政府の進める個人情報を扱うオンラインシステムは、安易に利用しないほうが良いと考えています。

世界は今、個人情報という商品を政府と企業が国境を越えて奪い合う、情報戦争の真っ只中にいるのだ。政府の危機意識が追いつくまで待っていては間に合わない。(p229)

と、著者が指摘する通り、重要な個人情報を外国資本の企業に売らないよう、政府や関連企業の動きを監視することが不可欠な世の中になっています。