食物のタネ ー「固定種」「在来種」「F1種」「GM種」の違い

1688年に日本で初めてタネ屋ができて以降、日本には外国からさまざまな種が入ってきました。

明治以降、外国から本格的に種が入ってくるようになった頃、世界ではナスで初めてのF1野菜が誕生したり、1940年代には玉葱のF1品種が誕生したりしていました。

1960年代になるとF1種が世界中に増え始め、2000年代に入るとバイオメジャーと呼ばれる大手アグリビジネス企業が種苗業に進出し始めました。

そんな種を巡る環境ですが……食物の種にはいろいろな種類があるようです。

近い将来野菜を育てようと考えている手前、今回は勉強も兼ねて種について書いておこうと思います。

種には種類がある

まず、種には農家が自家採種した種である「在来種」、次に種屋が形質を固定した種である「固定種」、最近では異品種をかけあわせて作った雑種(first filial Generation→頭文字を取ってF1)である「F1種」、さらに遺伝子組み換え種である「GM種」があります。

「在来種」「固定種」は、収穫した食物から得た種を土にまけば、再び芽が出て食物を収穫できる種です。

また、自然の中で選抜&淘汰されてきた種なので、遺伝的に安定した品種といえます。

さらに「在来種」「固定種」には、その地域の気候や風土に根差した伝統野菜や地方野菜が多く、生育時期や形、大きさ等が揃わないことも多いですが、個性的で豊かな風味を持った野菜ができるのも特徴です。

ただ、全国的には「在来種」を扱っている所はどんどん少なくなっていて、かろうじて残っているくらいの状況になっています。

「F1種」は無精子症の種

一方、「F1種」とは雑種第一代のことで、異なった対立遺伝子をホモで持つ両親の交雑によって生じた第一世代目の子孫のことです。

この種は一世代限りで終わるので、収穫した食物から得た種をまいても芽は出ません

そのため農家は毎年種苗会社から「F1種」を買う必要があり、種の生産や価格を種苗会社に委ねることになります。

それだけでも問題ですが……「F1種」の1番の問題は、雄性不稔であることです。

これは、男性不妊のことであり無精子症の種ということです。雌しべはあっても雄しべがない、もしくは機能を果たさないことを表しています。

雄性不稔の原因は、ミトコンドリア遺伝子の異常だということが分かっていますが、現代社会に無精子症の男性が増えているのは、こうした種でできた食物を摂取しているためという説もあります。

さらに、F2(F1の種から採取した種)では、F1と異なる性質が表れることがあるようです。そんな品種の野菜を食べ続けたら、人間の体にも異常が出てきそうな気がします…

とはいえ、生育が旺盛なため特定の病気に耐性をつけやすく、大きさも風味も均一なので、大量生産・大量輸送・安定供給に向いている種です。

「F1種」が開発されたけれど

1955年頃までは「在来種」「固定種」しかありませんでしたが、それらには収穫が天候次第という欠点がありました。

結果、天候不良になると全く食物が育たなくなるため、農家にとっては非常に手間のかかる種でもあったわけです。その点「F1種」は、天候不順に強いため重宝されました。

その後市場に浸透した結果、今ではスーパーで売られている野菜のほとんどが「F1種」だといわれています(遺伝子組み換え作物を除いて)。

無精子症の種、と聞いて感覚的に「F1種」は危険だなと思ってしまうのは、私だけではないはずですが、「F1種」がなければ庶民の食生活が悲惨だった可能性もあるので、何ともいえません…

また、農家の方の労働環境も、今以上に過酷だった可能性があります…

「GM種」だけは避けたい

そんな状況でF1種は仕方ないにしても……遺伝子組み換え種(「GM種」)や遺伝子組み換え食品だけは避けたい気持ちがあります。

海外では、遺伝子組み換え食品を食べ続けた人々の体に腫瘍ができた、という報告がどんどん上がっているそうです。

にもかかわらず、コカ・コーラ、ペプシコ、ドール、ゴディバ、ハーシーズ、デルモンテなど日本でもよく見かける世界的メーカーは、積極的に遺伝子組み換え食品を扱っています遺伝子組み換え食品を販売する外国メーカーの品は不買)。

現在では、アメリカで生産されている80%の食品が遺伝子組み換え食品という話もあるほどです。

また日本でも、味の素グループ、山崎製パン、明治HD、ロッテ、日清オイリオグループ、キリンビバレッジ、キューピー、森永グループ、サントリーフーズ、サッポロ飲料などが、遺伝子組み換え食品を販売しています遺伝子組み換え食品を販売する日本メーカーの品は不買)。

自分の体は自分で守るしかない

ただ、日本でも特定市民団体や一部の国民の間では、「GM種」=危険という認識が広がってきています。

が、日本政府は外資から多額の献金を受けているのか、アメリカに隷属しているせいなのか、そうした認識は持たないようで…

農林水産省では、すでに8点の遺伝子組み換え作物の販売・流通を承認してしまっています、、、

  1. トウモロコシ(食用油、飼料、コーンスターチ、果糖ブドウ糖液糖、異性化液糖、水あめ、でんぷん、デキストリン、調味料(アミノ酸等)、醸造酢、醸造用アルコール、
    グリッツ、フレーク、菓子など)
  2. 大豆(食用油、飼料、豆腐、油揚げ、納豆、味噌、醤油、たんぱく加水分解物、乳化剤など)
  3. 菜種(食用油)
  4. 綿(食用油)
  5. じゃがいも(近年の輸入実績なし)
  6. てんさい(近年の輸入実績なし)
  7. アルファルファ(近年の輸入実績なし)
  8. パパイヤ(生食)

(参考)遺伝子組み換え食品の安全性について【遺伝子組み換えコラムvol.4】こんなものにも使われている、遺伝子組み換え作物

特に、遺伝子組み換えトウモロコシと大豆は、数多くの加工食品に入り込んでしまっている可能性が高いです。

そんな状況で、自分と家族の体を守るためには、「遺伝子組み換え食品を扱う企業の品は買わない」など、自分の判断で地道に対応していくほかありません。

危険な種が増加し、「在来種」「固定種」がどんどん減っている状況ですが……「在来種」「固定種」を扱う農家さんを探してその農作物を食べて続けることで、できる限り安全な種を守っていきたいと思います。

(参考「(株)田舎元気本舗HP」「(株)グリーンフィールド プロジェクトHP」