の続きです。
前回、米軍は、日本に駐留することで日本が再軍国主義化しないよう監視している、と書きました。
それは、1971年に行われた中国での秘密会談で、
周恩来首相から米軍を日本に駐留させている理由をきかれた、
大統領補佐官ヘンリー・キッシンジャーの発言からも分かります。
「もしわれわれが〔日本から〕撤退するとなると、原子力の平和利用計画によって日本は十分なプルトニウムを保有していますから、非常に簡単に核兵器をつくることができます。ですから、われわれの撤退にとってかわるのは、決して望ましくない日本の核計画なのであり、われわれはそれに反対なのです」
「日本が大規模な再軍備に乗り出すのであれば、中国とアメリカの伝統的な関係〔第二次大戦時の同盟関係ほか〕が復活するでしょう(略)。要するに、われわれは日本の軍備を日本の主要四島防衛の範囲に押しとどめることに最善をつくすつもりです。しかし、もしそれに失敗すれば、他の国とともに日本の力の膨張を阻止するでしょう」(p229、230)
そんなアメリカですが、約170年前ペリーが浦賀に行く前に、まず沖縄(当時の琉球王国)に行き、
そこで測量を行い、水源や水質の検査まで行っていたことが分かっています。
そして驚くべきことに、
そのときの調査記録が、なんと九二年後の第二次大戦の沖縄上陸戦で使われた(p234)
というのです。
軍隊というのは私たちの想像以上に大量の水を必要とするそうです。飲料水とかそういったレベルの話ではなく、軍用機や武器が油でドロドロになりますから、つねに大量の水で洗浄しなければならない。そのこともあって米軍は七〇年前に嘉手納に上陸・占拠して、いまなお、そこを最大の軍機拠点としているわけです。(p234)
約100年先まで見据えた周到な用意を、アメリカは行える国なんですね、、、
約250年間鎖国していた島国日本とは、比較にならないほど戦略的に長けています。
先日、横浜開港資料館で1854年に日米和親条約が結ばれたことを思い出したのですが、
その約100年後の1952年にサンフランシスコ講和条約が結ばれたことを考えると、
今回知ったアメリカの軍事計画の緻密さからして、アメリカの想定内だったのではと考えさせられました。
日本は、第二次大戦における侵略行為を背景に、
国連憲章にある敵国条項や、アメリカと各国との安全保障条約による法的権利から、
アメリカから潜在的敵国とみなされながら、米軍に駐留され続けています。
結果、原発という核兵器をいつでも攻撃できる体制を、米軍に提供していることになります。
日本全国で低空飛行訓練をしている米軍は、いつでも瞬時に日本中の原発を爆撃し、日本全体を壊滅させられるオプションをもっている。(p235)
こんな状態では、著者も指摘しているように、アメリカと対等な交渉などできるはずがありません。
米軍基地と原発がある限り、もしくはアメリカに対抗できる強力な外交カードでもない限り、
対米隷属路線は今後も続いていく可能性が高く、
日本の国益にならず、日本国民を虐げる政策が続いていく可能性が高い。
BRICsの台頭や、フランスによるアフリカへの植民地支配終焉からも見えるように、
世界における欧米諸国の影響力は明らかに衰えており、
これまで発展途上国から搾取してきた先進国と呼ばれる国々が、
今後発展途上国から搾取できなくなると、
代わりに、対米隷属で外交下手・水資源豊か・ATM日本は、搾取される可能性が高い気がしています。