で引用した、『アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!』(山田正彦、2016)。
読み終わって思ったのは、1人でも多くの人にこの本を読んでほしい、ということです。
というのもTPP協定は、日本政府がその内容を大筋合意直前まで国民に隠していたシロモノで、
大半の国民に知られると間違いなく反発がある、憲法違反の売国奴条約だからです。
TPP協定の影響を大半の国民が体感するのは、関税が完全撤廃された後かと。
例えば、農作物(お米も含まれます)。
すでにここ数年価格上昇が続いていますが、、、関税撤廃後はどんどん上がるのではないかと思います。
乳製品などはすでに関税が段階的に下げられており、国内生産者も廃業が相次いでいるため、
輸入品を中心にチーズ、バターなどがどんどん高騰すると思います。
最初は良く見えるんですよ、国産品と輸入品、両方の産地がきちんと表示され、
両方がスーパーの店頭に並んでいて、国産品よりも輸入品が低価格で売られているうちは。
ただ、すべての農作物の関税が撤廃されて、消費者が購入する品が国産品から輸入品に移り始めると、
国内生産者はやっていけなくなるので、徐々に廃業していくことになります(廃業だって簡単ではないのですが)。
そうやってスーパーの店頭には、安い輸入品しか並ばなくなります。
しかし、なんらかの事情で外国からの輸入が激減したり、
途絶えたりしてしまった場合(例えば、異常気象による凶作とか、戦争とか、買い負けるとか)、
そのとき国内生産者がいなければ、消費者は超高額な輸入品を買うか、買えなくて諦めるしかなくなります。
買えなくて諦めた消費者が、その代わりに買える品があれば良いですが、、、
スーパーに超高額の輸入品しか並んでいなければ、それを買うしかありません。
その超高額品が、EU、ロシア、中国で使用禁止されている添加物使用や遺伝子組み換えの、安全とは程遠い食品であったとしても。
その超高額品が、大半の日本人には耐えられない不味いものでも。
その超高額品の、産地が表示されていなくても(TPP協定では、今後あらゆる表示が禁止される可能性)。
それでも、まだ食品がスーパーに並んでいるだけマシかもしれません。
食糧難になれば、どこへ行っても食品が手に入らないことは十分考えられますから。
同じことが医療、保険、水道などの公共調達、国有事業、学校、雇用など、
TPP協定交渉で日本政府が守らなかった国内産業全てで言えるのですが、
このことを知っているのはごく一部だと思います…
TPP協定交渉参加前、日本政府関係者が言ってきた「農業も競争しなければならない」という言葉。
それは、アメリカやオーストラリアなど食料自給率が100%以上あり、自国民を飢えさせないほど、
食糧を生み出せている国が言えること。
行き当たりばったりの対米隷属政策で第一次産業を保護せず、耕地面積が狭く食糧自給率の低い日本が、
国が保護しない状態で国際競争なんかしたら、どう努力しても価格で負けてしまうのは当然です。
でも書きましたが、家畜の飼料はほぼ輸入という事実が、食料安全保障とは程遠いこの国の現実を物語っています…
先進各国では農家に補助金を出して農業を保護し、国防としての食料安全保障をきちんと考えているのです。
ちなみにTPP協定の交渉で、日本政府は諸外国とは違い、自国の第一次産業を守らなかったため、
国内の第一次産業従事者は、続々と生活基盤を奪れています。
私自身はできるだけ国産品を買うようにしていますが…
そのうち、そう選択する自由さえ奪われてしまう可能性の高さに、ため息。
ここに書いたのは農作物を主とした食品についてですが、
前述したように医療、保険、水道などの公共調達、国有事業、学校、雇用など、
TPP協定交渉で日本政府が守らなかった国内産業すべてで、同じような事態になる可能性が高いです。
グローバル企業の利益拡大のためだけに、締約国の庶民をどこまでも犠牲にするTPP協定。
そして、食の主権を売り渡したために、外国に生殺与奪の権を握られてしまう大半の日本国民。
自由化された規制のない世界で、弱者は強者に搾取され続ける以外ないのかと思うと、絶望です。