合成洗剤がもたらす知られていない危険性

以前にもご紹介したことがある『人類が生き残るために』(浅野晴義、1979)。

薄い冊子ですが内容は濃く、著者の危機感がひしひしと伝わってきます。

40年前に書かれたものとは思えない現代に則した内容で、当時以上に危険性が増しているのをみると絶望しか感じません、、、

など、親の影響もあって1人暮らし時代から合成洗剤を避けた生活をしてきましたが、

頻繁に外食していた頃は、飲食店食器に残留した合成洗剤によって危険にさらされていた可能性も高そうです、、、

他にも、市販に売られているカット野菜や漬物野菜も化学薬品で洗浄されている可能性が高いですから、

無農薬野菜を買って何から何まで自分で調理する以外に、安全な食を摂取する手段はないのかもしれません。

さて、ここで『人類が生き残るために』から、合成洗剤の危険性が書かれた箇所を引用したいと思います。

合成洗剤が危ないという数多くの実験成績がある。人間の健康と直接関係あるものを拾ってみても次のようないくつかがある。

①合成洗剤は毛根を委縮させ、頭髪をうすくする。これは合成シャンプーが問題となる。

②合成洗剤は肝臓障害を起こす。電子顕微鏡では肝臓細胞の壊死(死滅)が観察され、血液生化学調査では肝細胞の傷害で上昇する酵素GOT、GPT値が上がる。

③合成洗剤は精子を破壊する。ネズミの塗布実験では、精巣内の精子が減少し、残った精子も、頭部、尾部の破壊が目立つ。この事実は、奇形の発生との関係で注目されねばならない。

④合成洗剤は動脉硬化を促進する。実験では、体重一kgあたり五mgの界面活性剤でコレステロールが上昇したという報告がある。最近の小中学生の血中コレステロール値が異常に高いといわれる。これは食生活の変化と共に、合成洗剤も関連しているかもしれない。(p9、10)

・GOT …アスパラギン酸アミノ基転移酵素(肝炎ウイルスや薬物などで肝臓細胞が壊れたのを測る検査として利用されている)

・GPT …アラニンアミノ基転移酵素(肝炎ウイルスや薬物などで肝臓細胞が壊れたのを測る検査として利用されている)

近年は、上記危険性を持った洗剤(人間の体を洗うものも含めて)ではない洗剤が市場にも増え始めていますが、まだまだその数は少数です。

それは、合成洗剤の危険性が認識されるには難しい社会環境があるからだと思います。

例えば、大企業はあらゆる手段を使ってマイナス情報を握りつぶすため、原因を認めさせるのが難しいというのもあります(政府が関わっている場合もある)。

また、長い年月をかけて体内に蓄積されるために、影響が出た頃には合成洗剤が原因とは気付かなかったり、

自分の体に影響が出なくても子どもや孫に出たりして、原因の所在が明らかになりにくいというのもあります。

それに加えて現代生活には危険なものが溢れているので、程度の問題と捉えて諦める人々も多くなっているのかもしれません。

気を付けようが気を付けまいが、たいして危険性は変わらないという風に、、、

とはいえ、合成洗剤に含まれている界面活性剤には、世間的にあまり知られていない危険な働きもあるので、

同本からその箇所を抜粋しておきます。

 本来、皮フは細胞の角質層と分泌脂肪によって、外界の毒物から充分に保護されている。ところが合成洗剤は、皮フからの吸収は経口的に吸収されるのと同じ、またはそれ以上であるといわれる。この点は他の毒物と決定的に異なる。これは界面活性剤のもつ恐るべき力であろう。

人間の腸管からの吸収も、自然の防禦機構の一つとして、ある程度の選択がなされる。これに界面活性剤が加わると、どうなるのであろうか。防禦機構が崩れて有害物質の吸収効率がよくなることも、充分にあり得るのである。

池に一滴の合成洗剤液を落とすことによって、遊んでいるアメンボウを溺死させることができる。このような凄まじい力を合成界面活性剤は持っている。つまり界面活性剤本来の毒性ばかりでなく、他の毒物の存在に対して、そこに微量でも界面活性剤があることが、思いもかけぬ危険性をもっているかもしれないのである。(p10)

経口的とは、薬を患者に飲ませて口から与えることなので、合成洗剤・界面活性剤は皮膚に触れるだけで口から入るのと同じような吸収がなされてしまうということになります。

これは「髪は染めない」経皮毒の危険性で書いた内容とも重なります。

染色料に界面活性剤が入っていれば、間違いなく頭皮からそれが吸収されてしまうということです。

同じように界面活性剤入りのシャンプーを使っていれば、それが頭皮もしくは洗い流す際の皮膚から体内に吸収されてしまう可能性があるわけです。

そんな危険な商品を製造販売する大手企業は、その危険性を自ら明かすことはしません。

逆にそれを指摘する学者や人々を、「トンデモ」といって弾圧したり消したりします。

それだけでなく、安全な商品を取り扱っている企業の営業を邪魔することさえあります、、、

現代日本は経済中心社会なので、「儲かれば、社会や人々がどうなってもいい」という思想をもつ企業が多数派を占めています。

ただ、そうやって危険な商品を売る企業が存続し続けているのも、「安ければどうでもいい」という思想をもつ人が社会の多数派を占めているからだと思います。

もちろん、日本だけでなく他国にもそんなスタンスの企業や人々がありますが、、、

個人的には、アメリカが経済中心社会なので、それに日本も追随させられているのではないかと思っています。

ただ、政府が守ってくれないからといって諦めるのではなくて、自分たちが選ぶ商品によって市場で扱われる商品は変わってくるので、未来の子どもたちに少しでも安全な生活環境を残すために、できる限り危険な商品は選ばないような消費活動をしていきたいです。

はじめ、著者はこの本を「生命を守り育てるために」というタイトルにする予定だったそうですが、読んでいるとその理由が頷けます。

結局、人類だけが生き残ることはできないわけで、地球規模で考える必要があるわけです、、、

もはや世界中が汚染されている状況を知ると絶望的になりますが、それでも危険なものはなるべく避けて暮らしていきたいと思います。